糖尿病で一番怖いのは合併症!糖尿病治療の放置で三大合併症に。

糖尿病と聞くと、「糖尿病は糖質の過剰摂取や運動不足や生活習慣が要因となる病気で、食生活や日常生活を改善すればいいのでは?」と安易に考えてしまいがちですが、糖尿病の怖いこととして何よりも「合併症」を思い浮かべていただきたいです。

今回は意外と知られていない合併症の種類やその怖さについてお話しいていきたいと思います。

合併症とは一体何か?

合併症とはある病気が原因となって発症してしまう病気、又は手術や検査などの後にそれが要因となって発症する病気のことです。
例えば、消化器の手術をすると腸の動きがスムーズではなくなり腸閉塞を引き起こしてしまうことがあります。この場合は腸閉塞のことを合併症と呼びます。

糖尿病の三大合併症とは?

糖尿病の合併症には様々な種類の合併症があり、脳血管障害や冠動脈疾患などがありますがその中でも、糖尿病三大合併症と呼ばれる
糖尿病神経障害
糖尿病腎症
糖尿病性網膜症
の三つの合併症をピックアップして説明していきたいと思います。

糖尿病神経障害

糖尿病神経障害とは高血糖状態が続くことで末梢神経の代謝に異常が起こしまったり、血管が損傷し血液の循環が悪くなってしまうことで発症してしまいます。
また三大合併症の中で最も発症しやすいと言われており、糖尿病患者の半数が発症していると言われています。

・主な症状

・手足のしびれ、痛み、感覚の麻痺
・足の壊疽(痛みを感じにくくなり重症化の恐れ)
・勃起障害
・便秘異常(便秘、下痢)
・胃無力症(腸に食べ物が送られなくなる)
・無痛性心筋梗塞(痛みを感じないため進行しやすい)
・発汗異常(暑くても汗が出なくないor暑くないのに汗が出る)
・立ちくらみ

糖尿病腎症

糖尿病腎症とは、尿を作る働きをする腎臓に機能障害が起こり血液中の老廃物や不要物を本来なら尿として排泄していたものが排泄できなくなり、様々な代謝異常や内分泌の異常が起こります。
これを放っておくと腎不全に陥り人工透析を受けなければ生きていくことができなくなってしまいます。

糖尿病腎症には5段階での病期に分かれており、病期が進むごとに徐々に症状が現れていくのが特徴です。

・主な症状

第1期 腎症前期と呼ばれ合併症としての症状はほとんどなく、検査をしても腎症と診断されない場合もあります。

第2期 早期腎症期と呼ばれこの段階でも症状はほとんど現れませんがむくみが出てくることがあります。

第3期 顕性腎症期と呼ばれ尿中にタンパク質が出てき腎機能が低下していきます。むくみの症状が現れてきます。

第4期 腎不全期と呼ばれ腎臓の機能が著しく低下していきます。自覚症状としてはむくみ、体のだるさ、皮膚がかゆい、貧血など尿毒症の症状が出てきます。

第5期 透析療法期と呼ばれ腎臓が機能しなくなり人工透析を行わなければ生きていくことができなくなってしまいます。
人工透析とは腎臓の役割を人工的に代替する方法で、1日に4~5時間の時間を要する透析を週2日から3日通院して受けなければならなくなります。
もしくは携帯式持続腹膜透析という24時間透析を自身で行い、この方法は1日4回の透析バッグの交換が必要となり、どちらの方法も日常生活に大きな負担となってします。

糖尿病性網膜症

糖尿病性網膜症では、目の網膜の全てに異常が出るのではなく網膜の中の網のように走る毛細血管に異常が起こります。

網膜症は三代合併症の中で最も早期に発症しやすいと言われています。ですので、糖尿病と診断された場合には、まず眼底検査を受けることが大切です。

主な症状

網膜の中の毛細血管に異常が発生すると、次第に視力が低下したり視野が狭くなってしまう恐れがあります。さらに症状が進行してしまうと最悪の場合失明してしまうケースもあります。

網膜症の症状のステージは単純糖尿病網膜症 ⇨ 増殖前網膜症 ⇨ 増殖網膜症と3期に大きく分類されます。

単純糖尿病網膜症
自覚症状としては初期の段階で、網膜の細い血管に瘤ができる「毛細血管瘤」や、小さな点状の出血があらわれます。
また硬性白斑という白いシミのようなものが現れます。

増殖前網膜症
単純糖尿病網膜症が進行した状態で、血管の閉鎖により網膜に血液が行き渡らなくなり白い白斑(軟性白斑)が現れたり、静脈異常が起こるなどの症状が現れてきます。

増殖網膜症
新生血管という本来なら存在しない血管が現れ、その血管から出血が起こり、増殖膜や網膜剥離といった状態に陥ります。
この段階になると目の前に煙のようなものが見えたり、赤いカーテンが目の前にかかっているように見えるなどの自覚症状があらわれ、治療をすることが困難になってしまいます。

合併症を予防することはできるのか?

様々な合併症がありますが、合併症は高血糖状態がずっと続くことで発症します。
特別な予防を行うというよりかは、主治医の先生からの指示を守り徹底的な血糖コントロールを行うことが一番の合併症の予防方法だと考えています。

まとめ

今回は糖尿病の三代合併症についてご紹介しましたが、この他にも様々な合併症が存在します。
今回のお話を経て、合併症がどれほど恐ろしいものなのかを知っていただくと同時に、この知識をさらに深めて様々な人々に共有していただければ幸いです。

糖尿病を発症してしまったからには一生付き合っていかなければいけない病気ですので、少しでも日常生活に影響が出ないように治療を行っていただければと思います。

糖尿病の進行で足を切断することも。糖尿病患者が出来る対策。

今回は、糖尿病の本当の怖さでもあると言われている病気や傷の治癒が遅れてしまうことでどのような影響が人体に出てくるのかについて、お話ししていきたいと思います。

なぜ、糖尿病患者は傷をしたり病気になると治癒が遅いのか

先に述べた糖尿病を患うと傷や病気の治癒が遅くなってしまう要因として三つの要因があります。

血流障害
神経障害
免疫低下

糖尿病を患い高血糖状態にもかかわらず治療をせずに生活していると、上記のような血流障害、神経障害、免疫低下といった症状が体に現れ始めます。

しっかり治療をしていれば健常者と変わらぬ生活を送れるはずが、治療をおぼそかにしてしまうことで快適な日常生活を送ることができなくなってしまいます。

では、上記の要因が具体的に身体にどのような影響を及ぼしているのかを深掘りしていきます。

血流障害とは?
高血糖の状態が続いてしまうことで動脈硬化になってしまいます。
さらに悪化することで血流が悪くなり傷を治癒するために必要な酸素や栄養が行き渡らなくなってしまう状態です。
この血流障害により傷の治癒が遅れてしまう原因になります。

神経障害とは?
神経障害とは高血糖状態が続くことで抹消神経を傷つけてしまい、身体の感覚が鈍くなり足や手、腕、足などに傷ができた時に痛みを感じにくくなってしまいます。
そのため知らない間に傷が悪化してしまう恐れがあります。

免疫低下とは?
高血糖の状態になると免疫力が低下してしまい様々な病気に感染しやすくなったり、小さな傷でも感染してしまう恐れがあります。
治療をしっかりと行っていた時には、かからなかった病気に感染しやすくなります。

これらの要因により感覚が鈍くなってしまうことで靴擦れやタコに気づかなかったり、免疫の低下によって細菌に感染し水虫になってしまったりと、治癒が遅くなってしまうだけでなく、様々な病気にかかりやすくなってしまう恐れもあるのです。

ケガ・病気が治癒せず悪化してしまったケース

上記三つの要因がさらに悪化してしまうことで『足潰瘍』『足壊疽』になってしまいます。
この『足潰瘍』『足壊疽』が糖尿病の本当の怖さだと言われています。

足潰瘍とは?
足に傷ができてしまい皮膚の表面が炎症してしまう状態が一週間以上続いた状態です。

足壊疽とは?
足に細菌(水虫やタコなど)が感染してしまい、足の血流が悪くなってしまうことで正常な皮膚を保つことができなくなってしまい、皮膚やその下の組織が死んでしまいます。
組織が死んでしまうと壊死している部分を切除、あるいは膝から下、下腿から下を切断しなければいけなくなってしまいます。

どのような対策があるか

足潰瘍や足壊疽にならないために日頃から注意しておくべき事項や
セルフケアについてご紹介したいと思います。

足は、他の体の部位と比べて目に入りにくい箇所であり、足の傷は気付きにくくなります。
そのため知らない間に傷口が悪化してしまうケースがあります。

まずは足に怪我をしないことを心がけ、自分の足をよく観察するとともに、周囲の方にも協力を求めましょう。
もし傷の治りが少しでも遅いと感じたらすぐに病院を受診するようにしましょう。

また徹底した血糖コントロールを心がけ、動脈硬化を予防するために喫煙者の方は禁煙をしたほうが良いです。

【足のセルフケア10項目】
・素足で歩かないようにしましょう
・靴下を履きましょう
・足を清潔に保ちましょう
・シャワーや湯船のお湯での火傷に注意しましょう
・電気カーペットやこたつはなるべく避けましょう(低温火傷の恐れあり)
・ご自身の足にあったシューズを履きましょう
・足にできたタコやウオノメは病院で処置してもらいましょう
・爪の切り方に気をつけましょう(深爪や皮膚への割創、やすりを使うなど)
・神経障害などがある方はご家族や周囲の方に行ってもらうようにしましょう
・かかとの後ろや指の間も忘れずに観察しましょう

糖尿病患者が海外旅行に行く際の準備事項と注意点

国内旅行に比べ海外旅行は時差や環境、食べ物などが異なるため、糖尿病患者の方は海外旅行の際に注意しなければいけない事項が多くなります。
国内旅行に行き慣れている方でも海外旅行に行く際には注意が必要です。しかし、しっかりとした準備や計画をすることで健常者の方と変わらぬ旅を送ることができます。

今回は海外旅行に行く上での注意点や準備事項、充実した海外旅行を満喫するために役に立つ情報についてお話ししていきたいと思います。

1.旅行への準備

・スケジュールには十二分に余裕を持ちましょう。
・航空会社に糖尿病と証明できるように英文のDDB(Diabetic Date Book)を活用しましょう。
・旅行スケジュールに沿った薬の調整方法や注射計画をあらかじめ主治医の先生と相談しておきましょう。
・航空機内ではインスリン注射を行えない場合もあるため、あらかじめ航空会社にインスリン注射を投与していることを伝えましょう。  
・インスリン注射は温度管理が重要なので必ず注射は手荷物として機内に持ち込みましょう。
・インスリン注射を行う際の皮膚の消毒のためにアルコール綿を持参しましょう。
・糖尿患者だということを航空会社にあらかじめ伝えることで、糖尿病患者用の機内食を用意してくれます。
・低血糖の場合に備え糖質の入った飲料を持参しましょう。

海外旅行持ち物リスト

<海外旅行の際の持ち物リスト>

・常備薬(酔い止め、整腸剤、便秘薬 etc.) 処方箋のコピー及び薬の説明書
・診断書(英文)
・医療保険証
・海外旅行傷害保険証
・インスリン注射器及び予備
・インスリン注射計画証
・DDB(Diabetic Date Book)、糖尿病連携手帳
・血糖測定機器及び試験紙やその他の機器
・血糖測定機器及び試験紙やその他の機器の電池の有無
・アルコール綿などの消毒液
・使用済みの注射器などの廃棄袋
・糖質の入った食料(チョコ、飴、ビスケット etc.)
・血糖値自己管理ノート

2.フライト中の注意点

長時間のフライトになるほど身体にかかるストレスは大きくなります。
また長時間の座りっぱなしはエコノミークラス症候群という歌詞が圧迫され血流が悪くなり血栓ができてしまう恐れがあります。なので、こまめに姿勢を変えたり、トイレを利用したりして工夫するようにしましょう。
また、低血糖の際に備え糖質入りの飲料や食料を機内に持ち込みましょう。
機内での血糖測定器の使用は可能ですが、離着陸時は使用ができない場合があるので、あらかじめ客室乗務員に聞き、使用可能な時間にのみ使用するようにしましょう。
インスリン注射後の使用済みの針などは、持参した廃棄袋に廃棄し持ち帰るようにしましょう。

3.現地での注意点

海外旅行では必ず時差が発生します。
時差によって普段の食事や薬のタイミングがずれてしまうことがよくあります。主治医の先生と相談した食事や薬の投与の計画をしっかりと守るように心がけましょう。

旅先では様々なイベントや普段とは異なる環境により『食事が食べられなかったから』という理由でインスリン注射を自らの判断で中止する方がいらっしゃいますが、絶対に自己判断での注射の中止は行わないようにしましょう。
食事がやむをえずとれなかった場合は自己血糖測定の上、あらかじめ主治医の先生と相談した計画を行うようにしましょう。

旅行を十分に楽しむには体の健康が第一です。こまめな休息や良質な睡眠をとり、しっかりとした体調管理を行いましょう。
万が一体調を崩してしまった際には、早急に現地の医療機関を受診するようにしましょう。(現地に着いたらまず最寄りの医療機関の場所を把握するようにしましょう)

4.最後に

せっかくの海外旅行を体調不良で台無しにしてしまわぬように、しっかりと準備を行い適切な体調管理を心がけましょう。
これから海外旅行に行こうと考えている方々、充実した旅ができることを願っています。

糖尿病治療においての食事療法でのアプローチとは

糖尿病の治療方法には幾つかの種類があるのはご存知だと思います。食事療法や運動療法、インスリンの注射などの薬物療法などがあります。今回は不規則な生活や、偏った食生活などが要因となり発症する2型糖尿病への治療法として、一番基本的な食事療法をピックアップしていきたいと思います。

食事療法と聞いてなんとなく頭に思い浮かぶものがあるかもしれませんが、バランスの良い食事とは、どの食べ物をどのくらいの量食べれば良いのか、食べてはいけないのか、気にして食事を摂っているのになかなか改善されないなど、正確に理解している方は少ないのではないでしょうか。

様々な疑問や注意点を踏まえて糖尿病の食事療法について解説して行きたいと思います。

1.食事療法が糖尿病治療に与える効果とは

型糖尿病患者の場合ほとんどが食べ過ぎ飲み過ぎなどによるエネルギーの過剰摂取や不規則な生活習慣によってインスリンが効きにくくなり血糖値が高くなってしまいます。
適切な食事を摂ることでインスリンの働きを促進し、全身の代謝異常や血糖値の上昇を良好に保ち、合併症の発症や予防をすることができます。

2.食事療法を行う上での三つのポイント!

①適切なエネルギー量の摂取

適正体重を維持するにあたって、日常生活を送る上での必要最低限のエネルギー摂取に抑えることで、過剰なエネルギー摂取を予防します。
年齢や性別、身体活動量などを考慮して、男性は1600〜2000kcal女性は1400〜1800kcalを目安とします。

*摂取エネルギーの算出方法

摂取エネルギー=標準体重×身体活動量

*標準体重(kg)=身長(m)×身長(m)×22

*身体活動量(kcal)

・デスクワークなどの軽作業の職業 25〜30kcal

・立ち仕事が多い普通の職業 30〜35kcal

・力仕事が多い職業 35〜kcal

例 事務職の男性Aさんの場合(身長170cm、体重70kg

標準体重:1.7×1.7×22=64kg

身体活動量:25〜30kcal

1日の摂取エネルギー量:64kg×(25〜30)kcal=1600〜1920kcal

②バランスのとれた食事

バランスのとれた食事とは、炭水化物(ご飯やパン、麺類)、タンパク質(肉や魚、大豆製品)、脂質(油脂、ナッツ)、ビタミン(果実や野菜)、ミネラル(果実や野菜)の5大要素を過不足なく1日の摂取エネルギー量内で摂取することのできる食事のことを言います。

エネルギーの元となる炭水化物、タンパク質、脂質の摂取割合としては、下記の割合で摂取することを推奨しています。これらにビタミンとミネラルを合わせて摂取することでバランスをとることができます。

③朝昼晩の1日3食

朝昼晩の1日3食と聞いて当たり前のことだと思うかもしれませんが、食事の時間1回の食事のエネルギー量食事の間隔など気をつけるポイントがいくつかあります。

朝昼晩の1日3食を推奨する理由としては、欠食をすると一度に多くのエネルギーを摂取してしまう恐れがあり血糖値が急上昇しやすくなってしまいます。
また三食とは別に間食を入れてしまうと、もちろん血糖値は上昇してしまいます。
1日3食で食事量を均等にする
食事の間隔を4〜5時間あける(食後の血糖値が4〜5時間で戻る)
夕食は21時までに済ませる(翌朝の朝食の高血糖を避けるため)
この三つのポイントを抑えることで食事での高血糖状態を防ぐことができます。

3.糖尿病患者向けのお勧め食事レシピ

食事レシピ1:鶏ササミとニンジンサラダ
<材料>
ササミ・・・3本
ニンジン・・・中1本
塩麹・・・大さじ1
料理酒・・・大さじ1
黒胡麻・・・適量
マヨネーズ・・・大さじ1
簡単酢・・・大さじ1
<作り方>
1 ニンジンは細切りに、レンジで2分ほどチンしてから簡単酢をかけます
2 ササミは料理酢と塩麹に20分以上つけて、レンジで3分くらいチン。粗熱が取れたら筋を取ってほぐす。
3余熱で全体に火が入るように最小限の加熱時間に抑えてください

食事レシピ2:糖質オフドーナツ
<材料>
水切り豆腐・・・150g
ホットケーキミックス・・150g
スキムミルク・・・20g
エリスリトール・・・30g
黄身・・・1個
<作り方>
1 豆腐はしっかり水切り後、クリーム状にしてエリスリトールと混ぜる
2 ホットケーキミックスに黄身を混ぜてこねる
3 手に米油を塗って小さく丸める
4 150度の油できつね色になるまで揚げる

4.まとめ

食事一つを取ってもこれだけの注意点やポイントがあります。今回お話ししたことを全て、すぐに実行することは難しいかもしれませんが、何か一つでも食事の摂り方を変えて継続し、少しずつ改善に向けて進んでいってほしいと願っています。
努力は必ず報われるという言葉がありますが、私は、報われない努力はないという言葉の方が適していると思います。
ご自身を信じて食事療法にも取り組んでみてはいかがでしょうか。

糖尿病を抱えるアスリート

『糖尿病を抱えるアスリートたちはなぜプロスポーツで活躍できたのか』

 世界には1型糖尿病を抱えながら様々な競技で今もなお活躍しているアスリートが多くいます。糖尿病と聞くと、もうスポーツを続けることはできないと考えがちですがそうではありません。確かにスポーツを続けることは簡単なことではありません。しかし様々な苦悩を乗り越え努力することで、発症する前と同じようなパフォーマンス、あるいはそれ以上のパフォーマンスをすることができる可能性があるのです。今回は、現在も1型糖尿病と戦いながら競技を続けているアスリートの方々を紹介していきたいと思います。1型糖尿病を抱え自分がこの先も大好きなスポーツを続けられるか不安な方々に、少しでも勇気や希望を与えられれば幸いです。

 

1.ビル・ガリクソン 『プロ野球選手、メジャーリーガー』 (1998現在60歳)

 21で1型糖尿病を発症した彼は、1997年のMLBドラフトでモントリオール・エクスポズに1位指名で入団し、その後はシンシティ・レッズやニューヨークヤンキースで活躍。その後1998年に日本の読売ジャイアンツに入団。当時日本では糖尿病を抱えながらスポーツを続けることは不可能だと言われていたが、ビルが自らインスリンの注射を打ちながらプレーしていたのは衝撃的でした。そして、糖尿病を抱えていることを感じさせないプレーで26試合に登板し14勝を挙げ、防御率3.1014完投3完封と活躍しました。彼は『ナンバーワンのプロ野球選手、ナンバーワンの糖尿病患者になる』をモットーとし、インスリン注射や食事管理の徹底を行いました。周りの選手が故障していく中、病気のおかげで自己管理がしっかりしていたビルは全く故障することはなかったそうです。

 彼は年棒以外の副収入全てを糖尿病研究に寄付し、その栄光が称えられ、社会貢献をした小児糖尿病患者を表彰するための『ガリクソン賞』を制定しました。

 

2.チャーリー・キンポール 『カーレーサー』 (1985.02.02 現在34歳)

 彼は9歳でゴーカート、16歳でカーレーサーとしてデビューしました。しかしその5年後の22歳で1型糖尿病を発症しました。当時の担当医に「レースを続けられるか?」と尋ねた際に「できない理由なんてないよ」と背中を押された彼は「前例がないなら僕が前例になる」と決意し、病と闘いながらレースを続けることを決めました。

 カーレーサーはレース中にスピード、ラップタイム、ギアなどで自分の車の状況を見るが、彼はそれに加えて持続血糖モニターで自分の血糖値を確認しながらレースをしていました。レース中は車から出ることはもちろん、タイムアウトを取ることもできないので糖分の入ったドリンクを車に搭載し、低血糖になってきた際はそのドリンクを補給することで安定した血糖値を保っていたといいます。その後も彼はインディ500という800キロものレースで好成績を収めるなど発症後も活躍することができています。

 

3.大村詠一 『エアロビック選手、日本代表』 (1986.02.07 現在33歳)

 4歳からエアロビックを始め8歳の時に1型糖尿病を発症しました。10歳の頃にエアロビック競技に転向し、20022003年にユースの部で世界一、2002年にはその活躍が称えられ『ガリクソン賞』を受賞、2008年には一般の部男子シングルスで日本一になるなど発症後も活躍し続けました。大村さんの場合はインスリンが分泌されず、何も食べなくても血糖値が上昇してしまうそうです。また、エアロビック演技の前に緊張すると血糖値が上がり演技直前まで血糖値は上がり続け、演技が終わった途端に血糖値が下がる傾向があるそうです。そのため様々な種類のインスリンの注射を使い分けて緊張などによって上昇してしまう血糖値を調整しているそうです。

 また、自分が糖尿病であることを打ち明け、そういう話をできる人を見つけることがとても大事だとおっしゃっています。大村さんもチャーリーのように『僕の前に道はない、僕の後ろに道はできる』と、現在も精力的に活動しています。

 

4.杉山新さん 『プロサッカー選手』 (1980.07.25 39歳)

 杉山さんは23歳の時に1型糖尿病を発症しました。1999年に柏レイソルでプロキャリアをスタートさせるも試合になかなか絡むことができず、2003年にヴャンフォーレ甲府に移籍しました。その直後1型糖尿病を発症し戦力外通告を受けることになってしまいました。しかし練習生として2ヶ月の猶予が与えられその期間で結果を出せば再契約できることになりました。猶予を与えられたからといっても大変なことばかりでした。インスリンの注射もトイレに行って隠れて打っていたことや、悔しさや虚しさに押しつぶされそうになり精神的に厳しい時期があったようです。

 しかし、家族や仲間、サポーターなどからの支援もありもう一度チャレンジすることを決めました。まずは自分がどのくらい走ったら血糖値が下がるのかを、グランドを1周するごとに血糖値の測定をし、その繰り返しを何度も何度も行い自分の体を理解していきました。それを繰り返していくうちに自信を取り戻していき、プレーに支障がないことをチームに証明することができ、再びプロの世界へと舞い戻ることができました。その後も大宮アルディージャや横浜FCで活躍するなど第一線でプレーし続けることができました。杉山さんは『自分さえ諦めなければ、必ず、夢は実現できる。』という言葉を残し、同じ糖尿病患者の方々に勇気と希望を与え続けています。

 

5.岩田稔さん 『プロ野球選手』 (1983.10.31 36歳)

 大阪桐蔭高校2年次にエースとして大阪府大会準優勝、近畿大会ではべスト8に導いた矢先に1型糖尿病を発症しました。高校卒業後は社会人野球リーグでプレーする予定でしたが、1型糖尿病もあり契約は白紙となり、関西大学に進学しました。しかし、当時の阪神タイガースのスカウトマンの目に止まり、最速151キロの速球や多彩な球種を持ち味とし、2005年のドラフト会議で阪神タイガースに入団することができた。そして2009年にはWBC(ワールドベースボールクラシック)に日本代表として優勝に貢献しました。

 糖尿病を患った当時、岩田さんはビル・ガリクソン投手の著書で「薬で血糖値をコントロールすれば、普通の生活はもちろん、スポーツを諦める必要はない」という言葉に胸を打たれ、14、5回のインスリン注射に加えて、先発、中継ぎ、抑えで投げる登板のタイミングに合わせて血糖値の値を調整し、また、運動量が減ると血糖コントロールが難しくなるらしく、オフの日でも完全に休養を取る日は少なく常に体を動かすなど工夫を凝らし「これで負けていたら、社会で生きていけない。絶対負けない」と心に決め努力を続け諦めない事で夢は叶うと証明してくれました。

 

最後に

 今回ご紹介した方々に限らず、1型糖尿病を患いながらもスポーツを続けている方々に共通して言えることは、絶対に諦めないこと、そして努力し続けているということです。糖尿病を患ったことで何事にもマイナスに考えてしまうのではなく、病気と向き合い絶対に諦めない気持ちを強く持つことで必ず夢は叶うと。
そしてご自身が成し遂げたことを、また次の世代の糖尿病患者さんに伝えていくことで、同じ病気で苦しむ方々に今度はご自身が勇気と希望を与えることができます。

決して簡単なことではありません、苦しいことの方が多いかもしれません。しかし、その苦しんだ分の何倍も大きくなった喜びや幸せが訪れると、私は信じています。

糖尿病とはどのような病気か。1型と2型、妊娠糖尿病の解説。

近年、糖尿病を患う国民の数は増加の一途をたどっています。
平成17年から平成29年の約10年間で246.9万人(男性132.3万人/女性114.7万人)から328.9万人(男性183.8万人/女性144.2万人)と、約60万人増加し過去最高となりました。

糖尿病と聞くと誰もが一度は耳にしたことがあるような病気ですが、症状や治療法、患者さんがどのような生活を送っているのかを正確に理解している人は少ないのではないでしょうか。
また、日本の医療の技術革新が発展し続けているのにも関わらずなぜ糖尿病患者が増え続けてしまっているのかなども合わせて、糖尿病とはどのような病気なのかを見ていきたいと思います。

糖尿病になるとどのような症状が現れるのか?

糖尿病とは、すい臓から分泌されるインスリンというホルモンの生産量が減少、あるいは正常に作用しなくなり、食事などで摂取した血糖(ブドウ糖)の値を正常に保つことができなくなり、血糖値が高い状態のことを指します。また、高血糖の状態が続くと血管が損傷し、心筋梗塞や脳梗塞など様々な合併症を引き起こす危険性があります。

糖尿病の主な症状(自覚症状)としては、異常なのどの渇き、尿意が頻繁になる、疲労感、気だるさ、体重の減少などが挙げられます。しかし、自覚症状があり糖尿病を疑うケースは少なく、症状が全く現れず人間ドッグや他の病気で受診した際に発覚するケースが多くあります。

糖尿病を患った場合の日常生活への影響

糖尿病という病自体は決して恐ろしい病気ではないですし、ガックリと肩を落とす必要もありません。
上記でも触れましたが高血糖に陥っている状態のことですから、糖質制限や野菜を多めにとるなどのしっかりとした食生活、歩行やジョギングなどの適度な有酸素運動を心がけることで徐々に改善されていくことが多いです。
そしてしっかりと通院することが最も肝心になります。誤解を招くかもしれませんが、私は糖尿病というのは、仏様がこれ以上状態を悪化させないために注意喚起をしてくれているのかなと思います。

1型糖尿病と2型糖尿病

糖尿病には「1型糖尿病」と「2型糖尿病」、「特定の原因によるその他の型の糖尿病」、「妊婦糖尿病」という糖尿病の中でも幾つかの種類があります。今回はその中の1型糖尿病と2型糖尿病についてそれぞれの特徴や違いについて解説していきたいと思います。

1型糖尿病 2型糖尿病
発症年齢 決まった年齢はなく何歳でも発症する可能性あり。若年層に多く発症する傾向あり。 主に中高年層に多く発症する傾向あり。
体型 痩せ型の人に多い傾向あり。 肥満体型の人に多い傾向あり。痩せ型の人にも発症するケースもある。
症状 1週間から数カ月の短い期間で急激にのどの渇きや体重減少などの自覚症状が現れ発症することが多い。 数カ月から数年の長い期間を経て徐々に発症することが多い。自覚症状などが少ないことから状態が進行している場合がある。
要因 突発的に発症する。
2型糖尿病とは異なり食生活や運動不足などの生活習慣に関連はない。
主に食べ過ぎ飲み過ぎや運動不足などの生活習慣によって血糖値が高くなり発症する。遺伝での発症もある。
治療法 インスリン注射 食事療法、運動療法、病院の通院による飲み薬による治療。症状が治まらない場合インスリン注射での治療を行う。

現在、日本の糖尿病患者数の内90%〜95%は2型糖尿病と言われています。
平成17年から平成29年の約10年間で60万人糖尿病患者数が増加したように、その背景にはファーストフード店の増加や車社会の普及によって運動不足に陥りやすくなり肥満体型の人々が増えたことが一つの要因になっていると考えられます。

妊娠糖尿病とは

妊娠糖尿病とは、糖尿病のいくつかの種類の中の一つであり、妊娠をする前に糖尿病の検診を行っておらず、妊娠が発覚してから血糖値が高くなり妊娠後に初めて発症した糖尿病のことです。
妊娠前にすでに糖尿病を患っている場合や妊娠中に明らかに糖尿病と診断された場合は妊娠糖尿病に該当しません

妊娠すると胎盤からHPLと言うホルモンが分泌されることでインスリンの働きを妨害され妊娠以前に比べて血糖値が上昇しやすくなり高血糖状態(妊婦糖尿病)になりやすくなってしまいます。
また妊婦の7〜10%の方が妊娠糖尿病と言われています。過去に流産や早産、先天奇形や巨大児の出産経験がある、家族系に糖尿病の方がいる、などに該当する方は注意が必要です。

妊娠糖尿病の症状は?治療法は?赤ちゃんへの影響は?

*症状

・お母さんへの影響
流産や早産、難産、羊水過多症、妊娠高血圧症候群 など
・赤ちゃんへの影響:流産、先天奇形、巨大児、低血糖、呼吸障害 など

妊娠糖尿病は自覚症状が他の糖尿病と比べて少なく、トイレに行く回数が増えたり、疲れやすいなどの症状が出ていたとしても、妊娠しているからだろうと思い込んでしまい発見が遅れてしまう場合があります。
早期発見をするためにも血液検査や尿検査などを行うことが大切です。

*治療法 基本は食事療法から

妊婦さんは有酸素運動などの運動が難しく、なかなか運動療法で改善していくことは難しいです。
そこで、まずは食事療法を実施します。

高血糖状態だからといって糖質を全く取らないのもよくありません
母子ともの健康に影響が出ない範囲で、食事後の高血糖状態を避けるために食事を4〜6回に分けて食事をする分割食を行うなどをして改善を試みます。
また単に食事制限をすればいいのではなく、適切な栄養素を含んだバランスのとれた食事を摂り、規則正しい生活を行うことが大切です。
それでも改善されない場合はインスリン注射を施します。

まとめ

糖尿病は患者さんだけの力だけでは乗り越えることは難しいです。家族やパートナーの支えがとても重要になります。

また糖尿病患者の大半が食べ過ぎや飲み過ぎ、運動不足などによる2型糖尿病のように、日頃から規則正しい生活を心がけることで予防することもできます。
一度きりの人生です。健康で充実した幸せな日々を送るためにも、今一度ご自身の体を見つめ直す良い機会ではないでしょうか。