2020年 7月 の投稿一覧

糖尿病患者は短命なのか?糖尿病と寿命の関係

糖尿病患者の平均寿命

日本では1971年〜1980年から2000年〜2010年までの10年間毎に日本人糖尿病患者の死因や死亡時年齢に関する大規模な調査を行ってきました。

2000年〜2010年の日本の糖尿病患者の平均寿命は男性で71.4歳、女性で75.1歳となっています。(日本国民の健康寿命:男性80.50歳 女性86.83)

1971年代の糖尿病患者の平均寿命は男性で63.1歳、女性で64.9歳と、現代の糖尿病患者の平均寿命と比べると男女で約10歳平均寿命が延長されており、日本の医療が技術革新によって年々糖尿病患者の平均寿命の数値は上昇しています。

10年ごとに糖尿病患者の平均寿命は約2.5歳ずつ延長されている計算とすると、現在の2020年現在では男性で74歳.女性で77.5歳、2050年には男性で81.5歳.女性で85.1歳となる可能性もあります。

人生100年時代と言われている時代ですので後にもお話ししますが、糖尿病は短命というイメージはなくなっていくのではないでしょうか。

糖尿病にかかると寿命が短くなってしまう?

結論からお話しすると、糖尿病自体が寿命を短くしてしまうということはほとんどありません。
糖尿病そのものが死因になるのではなく、多くの場合は合併症を発症してしまい死亡してしまうケースが多くなっています。

糖尿病は症状があまり出ない場合もあるので、発見が遅れてしまったり通院を怠ったりしてしまうことが多々あります。
そのため知らず知らずの間に合併症を罹患してしまっていたり、重症化してしまう恐れもあります。

静かに着々と進行していくことからサイレントキラーとも呼ばれています。
そのため若年で心筋梗塞や脳梗塞などの命に関わる合併症を患ってしまい寿命を約10年短くしてしまう可能性もありますが、必ずしも糖尿病が寿命を短くしてしまうということdはありません。

糖尿病と日本人の死因上位との関係性

日本人の死因上位三つは、
1位 ガン
2位 心疾患(心筋梗塞、狭心症など)
3位 脳血管疾患(脳卒中、脳梗塞など)
が上位を占めています。

残念なことに、糖尿病はガンや心疾患、脳血管疾患の発症リスクを高めてしまうことがわかっています。

上記の三つの他にも、死因の上位である「腎不全」は、糖尿病が原因で発症することが多いです。
さらには、血糖コントロールをうまくコントロールできない状態が続いてしまうと肺炎などの「呼吸器疾患」による死因のリスクも高めてしまう恐れもあります。

糖尿病自体は寿命を短くすることはほとんどないと上記でお話ししましたが、糖尿病を50歳以下で発症した場合、25年生存確率は健常者に比べて約5割ほど低下してしまうこともわかっています。
しかしながら、食事療法や運動療法を適切に行い、生活スタイルを改善していくことで糖尿病が引き金となる死亡リスクを大幅に減らすこともできます。

新型コロナの後遺症、糖尿病患者にも大きな悪影響の恐れ

新型コロナウイルスが今なお猛威を振るっていますが、治療を受けて退院できたものの後遺症に苦しむ方々が増えていることが注目されています。

国際感染症センターに勤務されていて感染症専門医である忽那賢志氏は、

『呼吸機能に関する後遺症は多く出ており、特に重症であった患者さんでは、退院1ヶ月時点で肺機能低下がみられる頻度が高いようです。
しかし、検査を行っても特に異常は見られず、「体がだるい」「胸が痛い」「息苦しい」「動悸がする」などといった症状を訴えられる患者さんが多い印象です。』

と自身のブログで言っています。

新型コロナの後遺症、治療は自己負担で行うことに。

後遺症のもう1つの大きな問題として、治療費があります。
新型コロナの治療は無料で受けることが出来るのですが、陰性となってからの後遺症の治療では自己負担で治療をしなくてはなりません

7月2日にはNHKでこの後遺症について特集番組が放送され、新型コロナの治療で入院し5月上旬に2度のPCR検査で陰性となって退院したものの、後遺症に苦しみ今なお回復の兆しが見られず、入院や通院を繰り返しているとのことです。
退院してからも医療費が実費であり、退院してからの1か月半だけで12万円の医療費がかかっています

NHKの新型コロナ後遺症の特集番組

Twitter上でも新型コロナ後遺症に苦しむ方の投稿が多数見られました。

『陰性後も体調不良続くことがあるなんて知らなかった。陽性時は指定感染症で入院費全額免除だが、陰性後の入院は自己負担ということを知らなかった
『今後全部有料でしかも高いのも気になる。後遺症があるうちはせめてお手ごろ価格で経過観察してほしい…変わったのは陰性ってだけだからなぁ』

このように新型コロナウイルスの後遺症・医療費負担は今後間違いなく大きな問題となってくるでしょう。

糖尿病患者は特に重症化しやすいので注意!

糖尿病をお持ちの方が新型コロナウイルスにかかると重症化しやすいことが様々な研究機関から発表されています。
血糖値が高くなることで白血球や免疫に関わる細胞の機能が低下していることが理由とされています。

この重症化リスクは新型コロナウイルスの後遺症についても同様のことが考えられます。

前述のように新型コロナウイルスの後遺症は呼吸機能に関するものが中心で、もともと糖尿病の方は健康な方に比べて肺の感染症(肺炎、結核、肺腫瘍など)にかかることが多く、後遺症についてもダメージや治療期間が大きくなりやすいと考えられています。

後遺症の治療費負担にどうやって備えるか

新型コロナが陽性である間の治療はすべて健康保険が保障してくれますが、新型コロナから回復し陰性となった後はすべて自己負担で支払うことになります。

後遺症が長引けばその金額はとてつもなく大きなものになりますが、国・健康保険からの保障がない以上、民間保険会社が販売している医療保険で備えることが唯一の有効策となります。

ただ糖尿病の方が入れる医療保険は数が限られていて、価格も通常の医療保険に比べて少し高く設定されています。

例えば糖尿病の方向けに専門で医療保険を販売しているエクセルエイド少額短期保険ですと、30歳男性で月額2,042円、40歳男性で2,875円で加入できます(医療保険「糖尿病保険」の例。入院や手術を保障)。
新型コロナウイルスの対策にもなる「エクセルエイド社の糖尿病保険」

基本的にどの保険会社でも年齢が上がるにつれて価格(保険料)も上昇します。

保険加入は必ず新型コロナにかかる前に済ませておくこと

医療保険への加入を検討されている方は、新型コロナにかかる前に必ず加入を済ませておきましょう。

というのも、新型コロナウイルスに対して生命保険会社が保険引き受けルールを見直しており、新型コロナウイルスに感染・重症化してしまうと医療保険にはもう加入することができない可能性が出てくるからです。

どの生命保険会社もまだ公には発表していませんが、一部の保険会社では個別対応でそのような動きを既にしているという話も業界筋の方から聞いています。

未知のウイルスであるため、保険会社のそのような動き自体はやむを得ないように感じます。

糖尿病や持病のある人ほど予防の徹底を

このように新型コロナウイルスは陽性になり治療を受けているときだけでなく、陰性となった後も私たちの健康・生活に多大な影響を与えます。

後遺症の回復には半年~1年かかると医師に言われた方もおり、延々と続く治療からくる心理的ダメージと金銭的負担はとても大きなものです

新型コロナに罹らないことが一番に考え、予防の徹底を継続していただきたいと思います。
「手洗い」「屋内でのマスク着用」「3密を避ける」といった感染対策を常に心がけましょう。

この記事の参考文献

糖尿病患者が新型コロナウイルスに罹患したときの家計への影響
コロナ陰性後も続く“後遺症” 実態調査へ 日本呼吸器学会(NHK)
新型コロナの後遺症 症状と頻度は?(感染症専門医の忽那賢志氏のブログ)

小児糖尿病と食事生活(食事療法)について

小児糖尿病とは?

小児糖尿病とは小児期に発症した1型糖尿病、あるいは2型糖尿病のことを指します。
糖尿病と聞いて思い浮かぶのは大人の病気のイメージがありますが、何歳でも発症し特に若年層に発症しやすい1型糖尿病のように、小児期でも突発的にインスリンの働きが低下、あるいはなくなってしまうことが少なくありません。

10歳未満の小児糖尿病は1型糖尿病がほとんどの割合を占めています
10歳以上になると徐々に食生活の乱れが出始め、小児期でも成人型と言われる2型糖尿病が増えていき、1型糖尿病と2型糖尿病が同じくらいの割合となっています。

・主な症状

体内のインスリンが不足すると高血糖状態に陥り、血糖値を薄めようと体が働きかけることで水分の摂取量が増えたり、喉が渇いたり、尿量が増加するなどの初期症状が現れます。
小児期の場合ですと、お子さんがよくおもらしをしたり「おねしょ」をするなと感じたら糖尿病の可能性があるかもしれません。

さらに状態が悪化すると、糖尿病ケトアシドーシスというとても危険な状態に陥ってしまい、意識障害や嘔吐や吐き気などの症状が現れます。
この状態は大変危険ですので直ちに医療機関を受診するようにしてください。

・合併症の恐れ

適切な治療や血糖管理を行うことができていればあまり合併症の心配をする必要はありません。
ですが、高血糖状態が長い間続いていると合併症を発症するリスクが高くなってしまいます。

具体的な合併症としては失明や人工透析を要する糖尿病腎症、痛みを感じにくくなるなどの神経障害などがあります。(この神経障害によって痛みを感じなくなることで命に関わるような大怪我をする恐れもあります。)

また、大人になるにつれて心筋梗塞や脳梗塞など命に関わる病気を患ってしまう可能性がありますので注意が必要です。

1型糖尿病の子供の食事生活

1型糖尿病の場合特別な食事制限をする必要はありません。
自宅での食事や保育園や幼稚園での給食も他の園児と同じように食事をしても問題はありません。

ただし、小児が成長するために必要な量の栄養素やエネルギーを知ることが大切です。

バランスの良い食事を心がけるとともに、一度に大量の食事をしたり遅い時間に食事を取るなどは血糖コントロールに支障をきたす恐れがありますので控えるようにしましょう。

・おやつ(捕食)について

低血糖の予防や治療の一環としてもおやつを摂ることは大切です。
特に運動後などはおにぎりやパンなど運動量に合わせた量のおやつを補給するようにしてください。

2型糖尿病の子供の食事生活

2型糖尿病の場合も特別な食事制限をする必要はありませんが、もし栄養が偏った食事や食習慣を行ってしまっているのであれば年齢に適した食事に戻す必要があります。
また、『朝食を食べない』や『夜遅くに食事をする』、『間食が多すぎる』等の食習慣は直ちに改善することをお願いします。

・おやつ(捕食)について

2型糖尿病の場合はカロリーオーバーにならないように気をつけましょう。
運動後の清涼飲料水はカロリーオーバーになりやすいので控えるようにしましょう。

まとめ

小児糖尿病は血糖コントロールをしっかりと行い合併症を予防することができれば周りのお友達と同じように成長することができますし、大人になっても健常者となんら変わらない生活を送ることができます。

朝食を食べなかったり、夜遅くに食事をするなどの食習慣はご家族による影響が大いにあると思いますので、ご家族がお子さんの食事管理を行うようにご協力をお願い致します。