そもそも治験とは
治験とは新しく作られた『くすりの候補』を、国の承認を得るために安全性や有効性に配慮しながら行う臨床実験のことをいいます。
現在ある既存のくすりでは治らない病気に対して、その病気に効果があるであろう『新しいくすり』を開発し、その新薬が効果があるのか、人体に悪影響はないかを国に判断してもらうことです。
治験を受けると報酬がもらえる
治験に参加すると、『謝礼』として報酬金が支払われます。
治験はアルバイトとは別のくくりであり、報酬金のことは『負担系限費』や『治験協力費』と呼ばれています。
治験協力費の相場。いくらもらえるか?
協力費は、通院して行うタイプと、入院をして行うタイプによって相場は分かれています。
*治験の種類や、医療機関によって協力費は異なる場合があります
<通院タイプの場合>
毎日通院するものや、1日だけ通院するものと様々ですが
1回の通院につき7000円ほどの協力費が支払われるのが相場で、医療機関によっては高いところだと1回の通院につき10000円ほどの協力費が支払われることもあります。
<入院タイプ>
入院タイプの治験の場合、治験期間が数日から1ヶ月ほどになるものが大半を占めます。
(糖尿病の治験の場合は長期入院のケースが多くなります)
入院タイプは1回の入院につき1〜2万円ほどの協力費が支払われるため、1ヶ月入院を要する治験を受けると60万円の協力費が支払われることもあります。
治験の安全性について
治験と聞くと、危険な薬や危険な実験を行うというイメージが少なからずあると思います。
が、そもそも治験というのは、基礎研究や非臨床実験といった研究で8〜10年という長い年月をかけたのち、初めて治験の臨床実験を行うことができるものです。
安全第一で行い、新薬の効果や副作用などの最終的なデータを確認するための実験なので、皆様が想像しているような危険なことはまずありません。
まず、治験を行うには多くの条件やルールがあります。
<治験を行うことができる医療機関の条件>
・医療設備が十分に整っていること
・治験に対して、責任を持って実験を行うことができる医師、看護師、薬剤師等の人材が所属していること
・治験の臨床実験の内容を正当に審査することができる委員会を利用できること
・副作用や異常が発生した場合、直ちに必要治療や処置を施すことができること
上記を満たした医療機関のみ治験を行うことができます。
<治験を行う上でのルール>
*「薬事法」、「医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令」に準ずる
・治験の臨床実験の内容を国に報告する
・治験審査委員会で治験の内容をあらかじめ審査しなければなりません
・同意を得ることができた患者のみ治験に参加させることができます
・重大な副作用は国に報告しなければなりません
・製薬会社は治験が適正に実施されていることを確認しなければなりません
このように多くの条件をクリアし、適正なルールに乗っ取ることで初めて治験を行うことができます。
とはいえ、治験の事故がまったくないかという言われるとそういうわけでもありません。
過去に起きた治験による事故の事例
2019年にエーザイが抗てんかん作用の効果が期待される「E2082」の臨床実験を行ったところ、20代の健康人男性が実験後に死亡してしまったという事故がありました。
男性は治験終了後に「幻覚・幻聴や不眠、異常行動」を訴えており、その後に電柱から飛び降りて死亡しました。
男性は治験を開始する以前は自殺願望や幻覚などの症状はなかったことから、「E2082」投与との因果関係は否定できないとしました。
また、調査によると「E2082」の臨床実験では精神科医が不在だったことや本実験についてのリスク説明を文書で行わず口頭のみで行っていたことも明らかになりました。
万前の体制下ではなかったことが少なからずあることから、この事故が引き起こされたとも考えられます。
糖尿病の治験
以下は過去にあった治験事例です。
※現在は新型コロナウイルスの感染対策のため、治験の多くが停止状態となっています
糖尿病治験の事例1
■20歳以上の日本人男女で、現在糖尿病治療中の方を対象
現在糖尿病の治療をされている方を対象に採血を行うモニター試験
<治験内容>
2週間に1回の通院を計5回(事前検査でも1回あり)
採血、採尿等を行い、治験薬の投与はありません。
<協力費>
35000円〜50000円ほど
糖尿病治験の事例2
■1年以上前から2型糖尿病の診断を受け治療中の20歳から70歳の男女を対象
1年以上前から2型糖尿病の診断を受けいる方を対象にヘルスチェックを行うモニター試験になります
<治験内容>
3~4日間の入院を4回+通院を8回行いヘルスチェックを実施。
(日時はあらかじめ指定)
<協力費>
176000円〜320000円ほど