糖尿病アラート犬とは

糖尿病アラート犬とは、糖尿病患者である飼い主が高血糖や低血糖などの血糖異常になっている時に、飼い主の足や腕をゆすったり、必要に吠えることで血糖値異常を知らせてくれる訓練された犬のことです。

飼い主が低血糖状態になっている時に、冷蔵庫から糖分の入った飲食物を運んでくる犬もいます。
また高血糖よりも低血糖の方が感知に優れているという研究結果もあります。

糖尿病アラート犬にも感知の精度には個体差があり、気質や、訓練、飼い主との相性などで変化します。
その中でも糖尿病アラート犬に向いている犬の傾向としては、
社交的
自信がある
食べ物でモチベーションが上がる
生まれつき人懐っこい
があると言われています。
(あくまで傾向なので犬によって個体差があります。)

なぜ犬が低血糖を検知できるのか

糖尿病アラート犬がなぜ糖尿病患者の血糖異常を感知できるのかについては、糖尿病患者が血糖異常になる時に患者から発せられる匂いをかぎ分けているのではないかと言われています。
血糖異常になると呼気中のイソプレンという部質が増減することが証明されており、このイソプレンの増減を匂いとして感知し血糖異常を知らせているのではないかと推測されています。

糖尿病アラート犬が糖尿病患者の命を救った事例

実際に糖尿病アラート犬が飼い主の血糖異常を感知し命を救った事例についてご紹介したいと思います。

介助犬チワワが血糖異常を察知

アリゾナ州に住んでいるトーマスさんの持病である糖尿病が悪化したため、介助犬の力が必要になりました。
そこでもともと飼っていたチワワを低血糖アラート犬養成プログラムに参加させることにしました。

本来なら過程を終了するのに2年ほどかかるところをメキメキと頭角を現し約8ヶ月で過程を終了するという驚異的な才能を開花させました。
訓練を終えてから3週間ほど経過した頃、トーマスさんの血糖値が急降下し低血糖状態に陥っていたのを匂いの変化からチワワが感知し、トーマスさんの顔を必要以上に舐めて異常を知らせたという事例が出てきました。
その後もトーマスさんが血糖異常になるたびに感知して知らせ、何度も命の危険から救っているそうです。

医療アラート犬のマジック

飼い主のクレアさんは1型糖尿病患者です。しかし通常の糖尿病患者とは違って、クレアさんの体は危険な発作の予兆を示さないという特徴がありました。
マジックが来る前は睡眠時に1時間ごとに起きて、発作がいつ起きるのかを予測するために血糖値の測定を行っていたそうです。当時は十分に睡眠がとれずストレスもかさみ疲れ果てていたそうです。
また、旦那さんも朝起きたら隣で妻が死んでいるのではないかと常に心配していました。

しかし、マジックが来たことにより、発作の予兆があまり現れないクレアさんの異常をも感知して血糖値異常を知らせてくれました。
クレアさんは今までに最新の医療技術は試してみても効果はなかったのですが、「マジックが来てくれたおかげで3500回は命を救われた」と話しています。
そのおかげで、悩まされていた1時間ごとの血糖値測定から解放され、旦那さんも今は大きな心配をすることなく生活できているそうです。

日本での糖尿病アラート犬の活用状況

日本での糖尿病アラート犬の実用状況は欧米に比べるとまだまだ低いのが現状です。

現在のところNPO法人の『日本IDDMネットワーク』と『ピースウィング・ジャパン』の二つの財団が殺処分を逃れた犬たちを糖尿病アラート犬へと育成し、糖尿病患者の家族を迎える活動を行っており、日本での早期実用化に向けて尽力しています。

糖尿病アラート犬が普及すれば、より糖尿病患者が健常者と変わらない生活を送れるようになるかもしれません

今回のコラムをきっかけに糖尿病アラート犬のことを知っていただく機会となれば大変嬉しく思います。
また、糖尿病アラート犬のことをもっと多くの人に広めていくことで、救える命の数が増えていくことにつながりますので、このコラムもそうですし、糖尿病アラート犬に関する記事やサイトの拡散もあわせてお願い申し上げたいと思います。