2020年 5月 の投稿一覧

糖尿病(2型)の持病がある人はガン罹患リスクが健常者の2倍

糖尿病患者がガンになる確率は高いというのは事実

厚生労働省の患者調査によると、糖尿病患者は健常者に比べてガンの発症率は20%から30%増加するという研究結果が報告されています。

特にガンを発症しやすい場所として
・肝臓
・膵臓
・大腸
・乳房
・直腸
・子宮内膜
・膀胱
が挙げられ、糖尿病患者の方はこれらの部位のガン発症率が高くなります。
一方で、前立腺ガンの発症率のみ減少するという報告も出ています。

罹病期間が長いほどガンの発症率は高くなる

糖尿病を15年以上患っている患者は、糖尿病を罹病してから15年以内の患者に比べて、男性で1.6倍、女性では1.8倍発症率が高くなると厚生労働省の患者調査により報告されています。

なぜガン罹患の確率が高いのか。

糖尿病患者のガン発症リスクが高い理由として、どの研究においても正確な要因は出されていないのですが、以下のことが考えられています。

要因① インスリン抵抗性と高インスリン血症

インスリンには糖代謝を促進させ血糖値を下げる働きがあるのですが、一方でガン細胞を増殖させる働きを持っています。
インスリン注射によってインスリンの成長因子が活発になり、癌の転移をも手助けしてしまう悪影響があります。

特にインスリンは膵臓で作られてから肝臓へと流れていくので、膵臓ガンと肝臓ガンのリスクが上がるのではないかと考えられています。

要因② 肥満による炎症

2型糖尿病の方の場合、肥満状態になることも少なくありません。
肥満によって蓄積された脂肪では慢性的に炎症が起こり、ガンの発症に関わってくる場合があります。

要因③ 生活習慣

これは糖尿病と癌の発症率として共通になりますが、栄養の偏った食事や運動不足、喫煙、アルコールの過剰摂取など、これは糖尿病を悪化させるとともにガンの発症率も増加させてしまいます。

ガン予防のために出来ること

ガン予防への一番の予防策は健康的な生活の徹底です。
栄養の偏った食事や運動不足による肥満、過剰なアルコール摂取、喫煙は糖尿病の発症に加えて、ガンの発症率も増加させてしまいます。

そしてガン予防に最も重要なのがガン検診です。
ガン検診を受けることでガンの早期発見につながり、ガンによる体調悪化(最悪は死亡)を防ぐことが出来ます。

一度ガン検診を受診したから安心するのではなく、定期的にガン検診を受診することで早期発見を限りなく100%に近づけられ、初めてガン検診の意味を成します。

ガン発症を抑える研究の状況

最近の研究状況でいうと、京都大学の井垣達吏氏の研究グループが、ハエを実験に使って糖尿病がガンの発症を増加させる関係についての研究結果を発表しました。

ハエのチコという細胞を破壊すると糖尿病患者に見られる高インスリン血症状態が見られ、糖尿病治療薬のメトホルミンを投与すると症状が回復したと言います。
この研究結果により糖尿病がガンの発症率を増加させてしまう関係の仕組みが解明され、糖尿病患者のガン発症への予防策や治療法の開発が期待されています。

血糖異常を知らせてくれる糖尿病アラート犬ってどんな犬?日本での活用状況は?

糖尿病アラート犬とは

糖尿病アラート犬とは、糖尿病患者である飼い主が高血糖や低血糖などの血糖異常になっている時に、飼い主の足や腕をゆすったり、必要に吠えることで血糖値異常を知らせてくれる訓練された犬のことです。

飼い主が低血糖状態になっている時に、冷蔵庫から糖分の入った飲食物を運んでくる犬もいます。
また高血糖よりも低血糖の方が感知に優れているという研究結果もあります。

糖尿病アラート犬にも感知の精度には個体差があり、気質や、訓練、飼い主との相性などで変化します。
その中でも糖尿病アラート犬に向いている犬の傾向としては、
社交的
自信がある
食べ物でモチベーションが上がる
生まれつき人懐っこい
があると言われています。
(あくまで傾向なので犬によって個体差があります。)

なぜ犬が低血糖を検知できるのか

糖尿病アラート犬がなぜ糖尿病患者の血糖異常を感知できるのかについては、糖尿病患者が血糖異常になる時に患者から発せられる匂いをかぎ分けているのではないかと言われています。
血糖異常になると呼気中のイソプレンという部質が増減することが証明されており、このイソプレンの増減を匂いとして感知し血糖異常を知らせているのではないかと推測されています。

糖尿病アラート犬が糖尿病患者の命を救った事例

実際に糖尿病アラート犬が飼い主の血糖異常を感知し命を救った事例についてご紹介したいと思います。

介助犬チワワが血糖異常を察知

アリゾナ州に住んでいるトーマスさんの持病である糖尿病が悪化したため、介助犬の力が必要になりました。
そこでもともと飼っていたチワワを低血糖アラート犬養成プログラムに参加させることにしました。

本来なら過程を終了するのに2年ほどかかるところをメキメキと頭角を現し約8ヶ月で過程を終了するという驚異的な才能を開花させました。
訓練を終えてから3週間ほど経過した頃、トーマスさんの血糖値が急降下し低血糖状態に陥っていたのを匂いの変化からチワワが感知し、トーマスさんの顔を必要以上に舐めて異常を知らせたという事例が出てきました。
その後もトーマスさんが血糖異常になるたびに感知して知らせ、何度も命の危険から救っているそうです。

医療アラート犬のマジック

飼い主のクレアさんは1型糖尿病患者です。しかし通常の糖尿病患者とは違って、クレアさんの体は危険な発作の予兆を示さないという特徴がありました。
マジックが来る前は睡眠時に1時間ごとに起きて、発作がいつ起きるのかを予測するために血糖値の測定を行っていたそうです。当時は十分に睡眠がとれずストレスもかさみ疲れ果てていたそうです。
また、旦那さんも朝起きたら隣で妻が死んでいるのではないかと常に心配していました。

しかし、マジックが来たことにより、発作の予兆があまり現れないクレアさんの異常をも感知して血糖値異常を知らせてくれました。
クレアさんは今までに最新の医療技術は試してみても効果はなかったのですが、「マジックが来てくれたおかげで3500回は命を救われた」と話しています。
そのおかげで、悩まされていた1時間ごとの血糖値測定から解放され、旦那さんも今は大きな心配をすることなく生活できているそうです。

日本での糖尿病アラート犬の活用状況

日本での糖尿病アラート犬の実用状況は欧米に比べるとまだまだ低いのが現状です。

現在のところNPO法人の『日本IDDMネットワーク』と『ピースウィング・ジャパン』の二つの財団が殺処分を逃れた犬たちを糖尿病アラート犬へと育成し、糖尿病患者の家族を迎える活動を行っており、日本での早期実用化に向けて尽力しています。

糖尿病アラート犬が普及すれば、より糖尿病患者が健常者と変わらない生活を送れるようになるかもしれません

今回のコラムをきっかけに糖尿病アラート犬のことを知っていただく機会となれば大変嬉しく思います。
また、糖尿病アラート犬のことをもっと多くの人に広めていくことで、救える命の数が増えていくことにつながりますので、このコラムもそうですし、糖尿病アラート犬に関する記事やサイトの拡散もあわせてお願い申し上げたいと思います。