糖尿病の基本

糖尿病の治験は受けても大丈夫?治験でどのようなことをするのか?

そもそも治験とは

治験とは新しく作られた『くすりの候補』を、国の承認を得るために安全性や有効性に配慮しながら行う臨床実験のことをいいます。

現在ある既存のくすりでは治らない病気に対して、その病気に効果があるであろう『新しいくすり』を開発し、その新薬が効果があるのか、人体に悪影響はないかを国に判断してもらうことです。

治験を受けると報酬がもらえる

治験に参加すると、『謝礼』として報酬金が支払われます。
治験はアルバイトとは別のくくりであり、報酬金のことは『負担系限費』や『治験協力費』と呼ばれています。

治験協力費の相場。いくらもらえるか?

協力費は、通院して行うタイプと、入院をして行うタイプによって相場は分かれています。
*治験の種類や、医療機関によって協力費は異なる場合があります

<通院タイプの場合>
毎日通院するものや、1日だけ通院するものと様々ですが
1回の通院につき7000円ほどの協力費が支払われるのが相場で、医療機関によっては高いところだと1回の通院につき10000円ほどの協力費が支払われることもあります。

<入院タイプ>
入院タイプの治験の場合、治験期間が数日から1ヶ月ほどになるものが大半を占めます。
(糖尿病の治験の場合は長期入院のケースが多くなります)

入院タイプは1回の入院につき1〜2万円ほどの協力費が支払われるため、1ヶ月入院を要する治験を受けると60万円の協力費が支払われることもあります。

治験の安全性について

治験と聞くと、危険な薬や危険な実験を行うというイメージが少なからずあると思います。
が、そもそも治験というのは、基礎研究や非臨床実験といった研究で8〜10年という長い年月をかけたのち、初めて治験の臨床実験を行うことができるものです。

安全第一で行い、新薬の効果や副作用などの最終的なデータを確認するための実験なので、皆様が想像しているような危険なことはまずありません。

まず、治験を行うには多くの条件やルールがあります。

<治験を行うことができる医療機関の条件>
・医療設備が十分に整っていること
・治験に対して、責任を持って実験を行うことができる医師、看護師、薬剤師等の人材が所属していること
・治験の臨床実験の内容を正当に審査することができる委員会を利用できること
・副作用や異常が発生した場合、直ちに必要治療や処置を施すことができること
上記を満たした医療機関のみ治験を行うことができます。

<治験を行う上でのルール>
*「薬事法」、「医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令」に準ずる

・治験の臨床実験の内容を国に報告する
・治験審査委員会で治験の内容をあらかじめ審査しなければなりません
・同意を得ることができた患者のみ治験に参加させることができます
・重大な副作用は国に報告しなければなりません
・製薬会社は治験が適正に実施されていることを確認しなければなりません

このように多くの条件をクリアし、適正なルールに乗っ取ることで初めて治験を行うことができます。
とはいえ、治験の事故がまったくないかという言われるとそういうわけでもありません。

過去に起きた治験による事故の事例

2019年にエーザイが抗てんかん作用の効果が期待される「E2082」の臨床実験を行ったところ、20代の健康人男性が実験後に死亡してしまったという事故がありました。

男性は治験終了後に「幻覚・幻聴や不眠、異常行動」を訴えており、その後に電柱から飛び降りて死亡しました。

男性は治験を開始する以前は自殺願望や幻覚などの症状はなかったことから、「E2082」投与との因果関係は否定できないとしました。

また、調査によると「E2082」の臨床実験では精神科医が不在だったことや本実験についてのリスク説明を文書で行わず口頭のみで行っていたことも明らかになりました。
万前の体制下ではなかったことが少なからずあることから、この事故が引き起こされたとも考えられます。

糖尿病の治験

以下は過去にあった治験事例です。
※現在は新型コロナウイルスの感染対策のため、治験の多くが停止状態となっています

糖尿病治験の事例1

■20歳以上の日本人男女で、現在糖尿病治療中の方を対象
現在糖尿病の治療をされている方を対象に採血を行うモニター試験

<治験内容>
2週間に1回の通院を計5回(事前検査でも1回あり)
採血、採尿等を行い、治験薬の投与はありません。

<協力費>
35000円〜50000円ほど

糖尿病治験の事例2

■1年以上前から2型糖尿病の診断を受け治療中の20歳から70歳の男女を対象
1年以上前から2型糖尿病の診断を受けいる方を対象にヘルスチェックを行うモニター試験になります

<治験内容>
3~4日間の入院を4回+通院を8回行いヘルスチェックを実施。
(日時はあらかじめ指定)

<協力費>
176000円〜320000円ほど

1型糖尿病を発症した人が受けられる公的支援は何がある?

1型糖尿病の医療費負担はどのくらい?

1型糖尿病は遺伝により発症することが多い病気で、お母さんのお腹の中から生まれてきてすぐに発症してしまうことも少なくありません。

1型糖尿病にはインスリンによる治療が必要不可欠です。
インスリンの治療にも様々ありますが、標準的な1型糖尿病のインスリン治療ですと
■ペン型注射器を用いたインスリン補充療法の場合
1ヶ月あたり15000円〜20000円ほど
■インスリンポンプなどの高度な医療器具を用いたインスリン補充治療の場合
1ヶ月あたり20000円〜35000円ほど
の費用がかかります。

糖尿病は膵臓移植手術を除いては現在の医療技術では完治することがありません。
そのため多くの患者さんが生涯を通じて医療費を払わなければいけなくなっています。
仮に60年間医療費を払い続けると、総額1000万円をも超える金額になってしまします。

そこで今回はこの医療費への公的支援について、どのような種類の公的支援策があるのかをお話ししていきたいと思います。

1型糖尿病への公的支援とは

1型糖尿病への公的支援には、
・『小児慢性特定疾患治療研究事業』
・『特別児童扶養手当』
という2種類の公的支援があります。

それぞれの公的支援の内容について説明していきたいと思います。

小児慢性特定疾患治療研究事業

小児慢性特定疾患治療研究事業とは、小児慢性特定疾病にかかっている子供に対してその医療費の自己負担分の一部を助成する制度のことを指します。

対象年齢は18歳未満で、糖尿病だけでなく、以下のような疾患に対して広く助成がされています(継続して治療が必要だと判断された場合は、20歳未満まで対象となることがあります)。

小児慢性特定疾患治療研究事業の対象疾患群:
1.悪性新生物(白血病、悪性リンパ腫など)
2.慢性腎疾患(ネフローゼ症候群、慢性腎盂腎炎など)
3.慢性呼吸器疾患(気管支喘息、気道狭窄など)
4.慢性心疾患(洞不全症候群、完全房室ブロックなど)
5.内分泌疾患(下垂体機能低下症、先端巨大症など)
6.膠原病(若年性突発性関節炎、皮膚筋炎など)
7.糖尿病 (1型糖尿病)
8.先天性代謝異常 (アミノ酸代謝異常症、ミトコンドリア病など)
9.血液疾患 (急性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病など)
10.免疫疾患 (X連鎖重症複合免疫不全症、細網異形症など)
11.神経・筋疾患 (全前脳胞症、脊髄脂肪腫など)
12.慢性消化器疾患 (潰瘍性大腸炎、急性肝不全など)
13.染色体又は遺伝子に変化を伴う症候群 (マルファン症候群、ダウン症候群など)
14.皮膚疾患 (表皮水疱症、先天性魚鱗癬など)
15.骨系統疾患 (胸郭不全症候群、軟骨無形成症など)
16.脈管系疾患 (巨大静脈奇形、リンパ管腫など)

また、自己負担額上限については、それぞれの家計の年収や、病気が重度なのか軽度なのかによって変動していきます。

特別児童扶養手当

特別児童扶養手当とは、精神または身体に何らかの障害がある子供を持つ家庭に手当を支給する制度です。

対象年齢:20歳未満

支給金額:1級(重度障害児)の場合、月額52,500円
    :2級(軽度障害児)の場合、月額34,970円

何級に該当するかは糖尿病の治療状況によって変わってきますので、特別児童扶養手当について詳しく知りたい方は、お住いの市区町村にお問い合わせしていただくとより細かく説明してくださいます。

その他の糖尿病への公的支援

障害基礎年金

障害基礎年金とは国民年金、共済年金、厚生年金保険の全ての方が対象となり支給される年金制度です。
また、交通事故によって身体または精神に障害を負ってしまった方や、生まれつき障害を持っている方など、あらゆる病気や怪我が対象となる年金制度でもあります。

対象年齢:規定なし

支給金額
1級(他人の介助がないと身の回りの自分のことを行うことができない程度) 97,4125円
2級(必ずしも他人の介助は必要ないが日常生活を自分だけで行うことは困難な程度) 77,9300円

これに『18歳到達年度の末日を経過していない子供』もしくは「20歳未満で障害等級1級または2級の障害者」の子供を有する場合、1〜2人目は一人当たり22,4300円、3人目以降は7,4800円が1級、2級の金額に加算されます。

糖尿病患者は短命なのか?糖尿病と寿命の関係

糖尿病患者の平均寿命

日本では1971年〜1980年から2000年〜2010年までの10年間毎に日本人糖尿病患者の死因や死亡時年齢に関する大規模な調査を行ってきました。

2000年〜2010年の日本の糖尿病患者の平均寿命は男性で71.4歳、女性で75.1歳となっています。(日本国民の健康寿命:男性80.50歳 女性86.83)

1971年代の糖尿病患者の平均寿命は男性で63.1歳、女性で64.9歳と、現代の糖尿病患者の平均寿命と比べると男女で約10歳平均寿命が延長されており、日本の医療が技術革新によって年々糖尿病患者の平均寿命の数値は上昇しています。

10年ごとに糖尿病患者の平均寿命は約2.5歳ずつ延長されている計算とすると、現在の2020年現在では男性で74歳.女性で77.5歳、2050年には男性で81.5歳.女性で85.1歳となる可能性もあります。

人生100年時代と言われている時代ですので後にもお話ししますが、糖尿病は短命というイメージはなくなっていくのではないでしょうか。

糖尿病にかかると寿命が短くなってしまう?

結論からお話しすると、糖尿病自体が寿命を短くしてしまうということはほとんどありません。
糖尿病そのものが死因になるのではなく、多くの場合は合併症を発症してしまい死亡してしまうケースが多くなっています。

糖尿病は症状があまり出ない場合もあるので、発見が遅れてしまったり通院を怠ったりしてしまうことが多々あります。
そのため知らず知らずの間に合併症を罹患してしまっていたり、重症化してしまう恐れもあります。

静かに着々と進行していくことからサイレントキラーとも呼ばれています。
そのため若年で心筋梗塞や脳梗塞などの命に関わる合併症を患ってしまい寿命を約10年短くしてしまう可能性もありますが、必ずしも糖尿病が寿命を短くしてしまうということdはありません。

糖尿病と日本人の死因上位との関係性

日本人の死因上位三つは、
1位 ガン
2位 心疾患(心筋梗塞、狭心症など)
3位 脳血管疾患(脳卒中、脳梗塞など)
が上位を占めています。

残念なことに、糖尿病はガンや心疾患、脳血管疾患の発症リスクを高めてしまうことがわかっています。

上記の三つの他にも、死因の上位である「腎不全」は、糖尿病が原因で発症することが多いです。
さらには、血糖コントロールをうまくコントロールできない状態が続いてしまうと肺炎などの「呼吸器疾患」による死因のリスクも高めてしまう恐れもあります。

糖尿病自体は寿命を短くすることはほとんどないと上記でお話ししましたが、糖尿病を50歳以下で発症した場合、25年生存確率は健常者に比べて約5割ほど低下してしまうこともわかっています。
しかしながら、食事療法や運動療法を適切に行い、生活スタイルを改善していくことで糖尿病が引き金となる死亡リスクを大幅に減らすこともできます。

小児糖尿病と食事生活(食事療法)について

小児糖尿病とは?

小児糖尿病とは小児期に発症した1型糖尿病、あるいは2型糖尿病のことを指します。
糖尿病と聞いて思い浮かぶのは大人の病気のイメージがありますが、何歳でも発症し特に若年層に発症しやすい1型糖尿病のように、小児期でも突発的にインスリンの働きが低下、あるいはなくなってしまうことが少なくありません。

10歳未満の小児糖尿病は1型糖尿病がほとんどの割合を占めています
10歳以上になると徐々に食生活の乱れが出始め、小児期でも成人型と言われる2型糖尿病が増えていき、1型糖尿病と2型糖尿病が同じくらいの割合となっています。

・主な症状

体内のインスリンが不足すると高血糖状態に陥り、血糖値を薄めようと体が働きかけることで水分の摂取量が増えたり、喉が渇いたり、尿量が増加するなどの初期症状が現れます。
小児期の場合ですと、お子さんがよくおもらしをしたり「おねしょ」をするなと感じたら糖尿病の可能性があるかもしれません。

さらに状態が悪化すると、糖尿病ケトアシドーシスというとても危険な状態に陥ってしまい、意識障害や嘔吐や吐き気などの症状が現れます。
この状態は大変危険ですので直ちに医療機関を受診するようにしてください。

・合併症の恐れ

適切な治療や血糖管理を行うことができていればあまり合併症の心配をする必要はありません。
ですが、高血糖状態が長い間続いていると合併症を発症するリスクが高くなってしまいます。

具体的な合併症としては失明や人工透析を要する糖尿病腎症、痛みを感じにくくなるなどの神経障害などがあります。(この神経障害によって痛みを感じなくなることで命に関わるような大怪我をする恐れもあります。)

また、大人になるにつれて心筋梗塞や脳梗塞など命に関わる病気を患ってしまう可能性がありますので注意が必要です。

1型糖尿病の子供の食事生活

1型糖尿病の場合特別な食事制限をする必要はありません。
自宅での食事や保育園や幼稚園での給食も他の園児と同じように食事をしても問題はありません。

ただし、小児が成長するために必要な量の栄養素やエネルギーを知ることが大切です。

バランスの良い食事を心がけるとともに、一度に大量の食事をしたり遅い時間に食事を取るなどは血糖コントロールに支障をきたす恐れがありますので控えるようにしましょう。

・おやつ(捕食)について

低血糖の予防や治療の一環としてもおやつを摂ることは大切です。
特に運動後などはおにぎりやパンなど運動量に合わせた量のおやつを補給するようにしてください。

2型糖尿病の子供の食事生活

2型糖尿病の場合も特別な食事制限をする必要はありませんが、もし栄養が偏った食事や食習慣を行ってしまっているのであれば年齢に適した食事に戻す必要があります。
また、『朝食を食べない』や『夜遅くに食事をする』、『間食が多すぎる』等の食習慣は直ちに改善することをお願いします。

・おやつ(捕食)について

2型糖尿病の場合はカロリーオーバーにならないように気をつけましょう。
運動後の清涼飲料水はカロリーオーバーになりやすいので控えるようにしましょう。

まとめ

小児糖尿病は血糖コントロールをしっかりと行い合併症を予防することができれば周りのお友達と同じように成長することができますし、大人になっても健常者となんら変わらない生活を送ることができます。

朝食を食べなかったり、夜遅くに食事をするなどの食習慣はご家族による影響が大いにあると思いますので、ご家族がお子さんの食事管理を行うようにご協力をお願い致します。

糖尿病(2型)の持病がある人はガン罹患リスクが健常者の2倍

糖尿病患者がガンになる確率は高いというのは事実

厚生労働省の患者調査によると、糖尿病患者は健常者に比べてガンの発症率は20%から30%増加するという研究結果が報告されています。

特にガンを発症しやすい場所として
・肝臓
・膵臓
・大腸
・乳房
・直腸
・子宮内膜
・膀胱
が挙げられ、糖尿病患者の方はこれらの部位のガン発症率が高くなります。
一方で、前立腺ガンの発症率のみ減少するという報告も出ています。

罹病期間が長いほどガンの発症率は高くなる

糖尿病を15年以上患っている患者は、糖尿病を罹病してから15年以内の患者に比べて、男性で1.6倍、女性では1.8倍発症率が高くなると厚生労働省の患者調査により報告されています。

なぜガン罹患の確率が高いのか。

糖尿病患者のガン発症リスクが高い理由として、どの研究においても正確な要因は出されていないのですが、以下のことが考えられています。

要因① インスリン抵抗性と高インスリン血症

インスリンには糖代謝を促進させ血糖値を下げる働きがあるのですが、一方でガン細胞を増殖させる働きを持っています。
インスリン注射によってインスリンの成長因子が活発になり、癌の転移をも手助けしてしまう悪影響があります。

特にインスリンは膵臓で作られてから肝臓へと流れていくので、膵臓ガンと肝臓ガンのリスクが上がるのではないかと考えられています。

要因② 肥満による炎症

2型糖尿病の方の場合、肥満状態になることも少なくありません。
肥満によって蓄積された脂肪では慢性的に炎症が起こり、ガンの発症に関わってくる場合があります。

要因③ 生活習慣

これは糖尿病と癌の発症率として共通になりますが、栄養の偏った食事や運動不足、喫煙、アルコールの過剰摂取など、これは糖尿病を悪化させるとともにガンの発症率も増加させてしまいます。

ガン予防のために出来ること

ガン予防への一番の予防策は健康的な生活の徹底です。
栄養の偏った食事や運動不足による肥満、過剰なアルコール摂取、喫煙は糖尿病の発症に加えて、ガンの発症率も増加させてしまいます。

そしてガン予防に最も重要なのがガン検診です。
ガン検診を受けることでガンの早期発見につながり、ガンによる体調悪化(最悪は死亡)を防ぐことが出来ます。

一度ガン検診を受診したから安心するのではなく、定期的にガン検診を受診することで早期発見を限りなく100%に近づけられ、初めてガン検診の意味を成します。

ガン発症を抑える研究の状況

最近の研究状況でいうと、京都大学の井垣達吏氏の研究グループが、ハエを実験に使って糖尿病がガンの発症を増加させる関係についての研究結果を発表しました。

ハエのチコという細胞を破壊すると糖尿病患者に見られる高インスリン血症状態が見られ、糖尿病治療薬のメトホルミンを投与すると症状が回復したと言います。
この研究結果により糖尿病がガンの発症率を増加させてしまう関係の仕組みが解明され、糖尿病患者のガン発症への予防策や治療法の開発が期待されています。

糖尿病が疑われる初期症状

健常者の方に糖尿病の初期症状とは何かと尋ねると、的確に答えられる方は少ないのではないでしょうか。また、身近に糖尿病患者がいなかったり糖尿病という病気に触れる機会がない方には、まず糖尿病がどのような病気なのかを理解できていない方もいらっしゃるのではないでしょうか。

今回は、これはもしかして糖尿病なのでは?と疑われる『初期症状』、もし糖尿病が進行してしまった時の『中期症状』についてお話ししていきたいと思います。

・糖尿病がどのような病気なのかはこちらで( 糖尿病とはどのような病気か )ご紹介しておりますので参考にしていただければと思います。

糖尿病の初期症状とは

糖尿病は初期の段階での自覚症状はほとんど現れないことが多いです。症状が現れるとしても日常生活に支障はなくとてもゆっくり時間をかけて現れてきます。
その中でも初期に見られやすい初期症状についてご紹介していきたいと思います。

倦怠感や疲労感

高血糖状態に陥ると、適切に体のエネルギー源の血糖をうまく使えなくなり、その代わりに筋肉や脂肪からエネルギーを生み出そうとするのでとても疲れやすくなったり、体が重く感じるようになってしまいます。

喉の乾きや頻尿

高血糖状態に陥ると、血液中の血糖を体外に排出しようとするので脳から尿を排出するように指令が出るため排尿の回数が増えてしまいます。また尿を大量に排出するため脱水症状だと脳が勘違いを起こし喉が乾きやすくなってしまいます。

足や手のかゆみ

高血糖状態に陥ると、神経障害が起こり末梢神経に障害が起こることで手や足の指先にかゆみが現れます。

体重減少

本来のブドウ糖をエネルギーに変換することができなくなり、その分のエネルギーを脂肪や筋肉からエネルギーを作り出すため、いつも通りの食事を摂っていても体重が減少してしまいます。

上記の他にも皮膚の乾燥、目のかすみ、切り傷やすり傷の治りが遅い、などの症状があります。
※初期症状には個人差がありますので必ずしも上記の初期症状が現れたからといって糖尿病を発症しているわけではありません。

糖尿病が進行してしまっていたときの症状

上記では、糖尿病が疑われる方や糖尿病初期の方が主にメインのお話でしたが、ここでは糖尿病を患っている方、又は知らない間に糖尿病を患ってしまい初期症状から中期症状へと進行してしまっている方向けのお話になると思います。

糖尿病の中期症状とは

中期症状は主に初期症状の症状レベルが酷くなった状態になります。
初期症状での喉の渇きや頻尿は『最近喉が乾くな、トイレが近いな』、足や手のかゆみは『手足が少しムズムズする』程度ですが

これが中期症状になると、、、
・最近喉が乾くな→喉が渇いて仕方がない
・トイレが近いな→異常なほどにトイレの回数が増えた
・手足が少しムズムズする→手足が痛い
など日常生活に支障がでてくるほどの症状になってきます。

また、中期症状になると上記の他にも、強い眠気や脱力感、尿からの甘い匂い、目のかすみ、性機能の低下、大幅な体重減少、吐き気など明らかな症状が現れてきます。
このレベルの症状が現れた際はすぐに医療機関を受診してください。

さらに悪化してしまった場合

初期症状や中期症状がさらに悪化してしまうと、糖尿病で一番怖い『合併症』を患ってしまうことになります。最悪の場合は足壊疽や足潰瘍で足を切断しなければいけなくなってしまったり、網膜症や腎症、透析など普通の日常生活を送ることができなくなってしまいますので、絶対に初期症状から軽視することのないようにしてください。

合併症についてはこちらの記事も合わせて読んでいただければと思います。↓
糖尿病で一番怖いのは合併症!糖尿病治療の放置で三大合併症に。

まとめ

今回は糖尿病の初期症状、中期症状についてお話ましたが。あくまで指標なので上記の症状が現れていなくても糖尿病を発症してる場合もあります。
上記の初期症状に当てはまる方はもちろんの事、少しでも心配な方は医療機関受診するようにしてください。

また、国内では新型コロナウイルスが蔓延しているので、糖尿病に限らずこれから病院を受診する際は感染防止対策を十分に行って受診するように心がけてください。

糖尿病で一番怖いのは合併症!糖尿病治療の放置で三大合併症に。

糖尿病と聞くと、「糖尿病は糖質の過剰摂取や運動不足や生活習慣が要因となる病気で、食生活や日常生活を改善すればいいのでは?」と安易に考えてしまいがちですが、糖尿病の怖いこととして何よりも「合併症」を思い浮かべていただきたいです。

今回は意外と知られていない合併症の種類やその怖さについてお話しいていきたいと思います。

合併症とは一体何か?

合併症とはある病気が原因となって発症してしまう病気、又は手術や検査などの後にそれが要因となって発症する病気のことです。
例えば、消化器の手術をすると腸の動きがスムーズではなくなり腸閉塞を引き起こしてしまうことがあります。この場合は腸閉塞のことを合併症と呼びます。

糖尿病の三大合併症とは?

糖尿病の合併症には様々な種類の合併症があり、脳血管障害や冠動脈疾患などがありますがその中でも、糖尿病三大合併症と呼ばれる
糖尿病神経障害
糖尿病腎症
糖尿病性網膜症
の三つの合併症をピックアップして説明していきたいと思います。

糖尿病神経障害

糖尿病神経障害とは高血糖状態が続くことで末梢神経の代謝に異常が起こしまったり、血管が損傷し血液の循環が悪くなってしまうことで発症してしまいます。
また三大合併症の中で最も発症しやすいと言われており、糖尿病患者の半数が発症していると言われています。

・主な症状

・手足のしびれ、痛み、感覚の麻痺
・足の壊疽(痛みを感じにくくなり重症化の恐れ)
・勃起障害
・便秘異常(便秘、下痢)
・胃無力症(腸に食べ物が送られなくなる)
・無痛性心筋梗塞(痛みを感じないため進行しやすい)
・発汗異常(暑くても汗が出なくないor暑くないのに汗が出る)
・立ちくらみ

糖尿病腎症

糖尿病腎症とは、尿を作る働きをする腎臓に機能障害が起こり血液中の老廃物や不要物を本来なら尿として排泄していたものが排泄できなくなり、様々な代謝異常や内分泌の異常が起こります。
これを放っておくと腎不全に陥り人工透析を受けなければ生きていくことができなくなってしまいます。

糖尿病腎症には5段階での病期に分かれており、病期が進むごとに徐々に症状が現れていくのが特徴です。

・主な症状

第1期 腎症前期と呼ばれ合併症としての症状はほとんどなく、検査をしても腎症と診断されない場合もあります。

第2期 早期腎症期と呼ばれこの段階でも症状はほとんど現れませんがむくみが出てくることがあります。

第3期 顕性腎症期と呼ばれ尿中にタンパク質が出てき腎機能が低下していきます。むくみの症状が現れてきます。

第4期 腎不全期と呼ばれ腎臓の機能が著しく低下していきます。自覚症状としてはむくみ、体のだるさ、皮膚がかゆい、貧血など尿毒症の症状が出てきます。

第5期 透析療法期と呼ばれ腎臓が機能しなくなり人工透析を行わなければ生きていくことができなくなってしまいます。
人工透析とは腎臓の役割を人工的に代替する方法で、1日に4~5時間の時間を要する透析を週2日から3日通院して受けなければならなくなります。
もしくは携帯式持続腹膜透析という24時間透析を自身で行い、この方法は1日4回の透析バッグの交換が必要となり、どちらの方法も日常生活に大きな負担となってします。

糖尿病性網膜症

糖尿病性網膜症では、目の網膜の全てに異常が出るのではなく網膜の中の網のように走る毛細血管に異常が起こります。

網膜症は三代合併症の中で最も早期に発症しやすいと言われています。ですので、糖尿病と診断された場合には、まず眼底検査を受けることが大切です。

主な症状

網膜の中の毛細血管に異常が発生すると、次第に視力が低下したり視野が狭くなってしまう恐れがあります。さらに症状が進行してしまうと最悪の場合失明してしまうケースもあります。

網膜症の症状のステージは単純糖尿病網膜症 ⇨ 増殖前網膜症 ⇨ 増殖網膜症と3期に大きく分類されます。

単純糖尿病網膜症
自覚症状としては初期の段階で、網膜の細い血管に瘤ができる「毛細血管瘤」や、小さな点状の出血があらわれます。
また硬性白斑という白いシミのようなものが現れます。

増殖前網膜症
単純糖尿病網膜症が進行した状態で、血管の閉鎖により網膜に血液が行き渡らなくなり白い白斑(軟性白斑)が現れたり、静脈異常が起こるなどの症状が現れてきます。

増殖網膜症
新生血管という本来なら存在しない血管が現れ、その血管から出血が起こり、増殖膜や網膜剥離といった状態に陥ります。
この段階になると目の前に煙のようなものが見えたり、赤いカーテンが目の前にかかっているように見えるなどの自覚症状があらわれ、治療をすることが困難になってしまいます。

合併症を予防することはできるのか?

様々な合併症がありますが、合併症は高血糖状態がずっと続くことで発症します。
特別な予防を行うというよりかは、主治医の先生からの指示を守り徹底的な血糖コントロールを行うことが一番の合併症の予防方法だと考えています。

まとめ

今回は糖尿病の三代合併症についてご紹介しましたが、この他にも様々な合併症が存在します。
今回のお話を経て、合併症がどれほど恐ろしいものなのかを知っていただくと同時に、この知識をさらに深めて様々な人々に共有していただければ幸いです。

糖尿病を発症してしまったからには一生付き合っていかなければいけない病気ですので、少しでも日常生活に影響が出ないように治療を行っていただければと思います。

糖尿病の進行で足を切断することも。糖尿病患者が出来る対策。

今回は、糖尿病の本当の怖さでもあると言われている病気や傷の治癒が遅れてしまうことでどのような影響が人体に出てくるのかについて、お話ししていきたいと思います。

なぜ、糖尿病患者は傷をしたり病気になると治癒が遅いのか

先に述べた糖尿病を患うと傷や病気の治癒が遅くなってしまう要因として三つの要因があります。

血流障害
神経障害
免疫低下

糖尿病を患い高血糖状態にもかかわらず治療をせずに生活していると、上記のような血流障害、神経障害、免疫低下といった症状が体に現れ始めます。

しっかり治療をしていれば健常者と変わらぬ生活を送れるはずが、治療をおぼそかにしてしまうことで快適な日常生活を送ることができなくなってしまいます。

では、上記の要因が具体的に身体にどのような影響を及ぼしているのかを深掘りしていきます。

血流障害とは?
高血糖の状態が続いてしまうことで動脈硬化になってしまいます。
さらに悪化することで血流が悪くなり傷を治癒するために必要な酸素や栄養が行き渡らなくなってしまう状態です。
この血流障害により傷の治癒が遅れてしまう原因になります。

神経障害とは?
神経障害とは高血糖状態が続くことで抹消神経を傷つけてしまい、身体の感覚が鈍くなり足や手、腕、足などに傷ができた時に痛みを感じにくくなってしまいます。
そのため知らない間に傷が悪化してしまう恐れがあります。

免疫低下とは?
高血糖の状態になると免疫力が低下してしまい様々な病気に感染しやすくなったり、小さな傷でも感染してしまう恐れがあります。
治療をしっかりと行っていた時には、かからなかった病気に感染しやすくなります。

これらの要因により感覚が鈍くなってしまうことで靴擦れやタコに気づかなかったり、免疫の低下によって細菌に感染し水虫になってしまったりと、治癒が遅くなってしまうだけでなく、様々な病気にかかりやすくなってしまう恐れもあるのです。

ケガ・病気が治癒せず悪化してしまったケース

上記三つの要因がさらに悪化してしまうことで『足潰瘍』『足壊疽』になってしまいます。
この『足潰瘍』『足壊疽』が糖尿病の本当の怖さだと言われています。

足潰瘍とは?
足に傷ができてしまい皮膚の表面が炎症してしまう状態が一週間以上続いた状態です。

足壊疽とは?
足に細菌(水虫やタコなど)が感染してしまい、足の血流が悪くなってしまうことで正常な皮膚を保つことができなくなってしまい、皮膚やその下の組織が死んでしまいます。
組織が死んでしまうと壊死している部分を切除、あるいは膝から下、下腿から下を切断しなければいけなくなってしまいます。

どのような対策があるか

足潰瘍や足壊疽にならないために日頃から注意しておくべき事項や
セルフケアについてご紹介したいと思います。

足は、他の体の部位と比べて目に入りにくい箇所であり、足の傷は気付きにくくなります。
そのため知らない間に傷口が悪化してしまうケースがあります。

まずは足に怪我をしないことを心がけ、自分の足をよく観察するとともに、周囲の方にも協力を求めましょう。
もし傷の治りが少しでも遅いと感じたらすぐに病院を受診するようにしましょう。

また徹底した血糖コントロールを心がけ、動脈硬化を予防するために喫煙者の方は禁煙をしたほうが良いです。

【足のセルフケア10項目】
・素足で歩かないようにしましょう
・靴下を履きましょう
・足を清潔に保ちましょう
・シャワーや湯船のお湯での火傷に注意しましょう
・電気カーペットやこたつはなるべく避けましょう(低温火傷の恐れあり)
・ご自身の足にあったシューズを履きましょう
・足にできたタコやウオノメは病院で処置してもらいましょう
・爪の切り方に気をつけましょう(深爪や皮膚への割創、やすりを使うなど)
・神経障害などがある方はご家族や周囲の方に行ってもらうようにしましょう
・かかとの後ろや指の間も忘れずに観察しましょう

糖尿病治療においての食事療法でのアプローチとは

糖尿病の治療方法には幾つかの種類があるのはご存知だと思います。食事療法や運動療法、インスリンの注射などの薬物療法などがあります。今回は不規則な生活や、偏った食生活などが要因となり発症する2型糖尿病への治療法として、一番基本的な食事療法をピックアップしていきたいと思います。

食事療法と聞いてなんとなく頭に思い浮かぶものがあるかもしれませんが、バランスの良い食事とは、どの食べ物をどのくらいの量食べれば良いのか、食べてはいけないのか、気にして食事を摂っているのになかなか改善されないなど、正確に理解している方は少ないのではないでしょうか。

様々な疑問や注意点を踏まえて糖尿病の食事療法について解説して行きたいと思います。

1.食事療法が糖尿病治療に与える効果とは

型糖尿病患者の場合ほとんどが食べ過ぎ飲み過ぎなどによるエネルギーの過剰摂取や不規則な生活習慣によってインスリンが効きにくくなり血糖値が高くなってしまいます。
適切な食事を摂ることでインスリンの働きを促進し、全身の代謝異常や血糖値の上昇を良好に保ち、合併症の発症や予防をすることができます。

2.食事療法を行う上での三つのポイント!

①適切なエネルギー量の摂取

適正体重を維持するにあたって、日常生活を送る上での必要最低限のエネルギー摂取に抑えることで、過剰なエネルギー摂取を予防します。
年齢や性別、身体活動量などを考慮して、男性は1600〜2000kcal女性は1400〜1800kcalを目安とします。

*摂取エネルギーの算出方法

摂取エネルギー=標準体重×身体活動量

*標準体重(kg)=身長(m)×身長(m)×22

*身体活動量(kcal)

・デスクワークなどの軽作業の職業 25〜30kcal

・立ち仕事が多い普通の職業 30〜35kcal

・力仕事が多い職業 35〜kcal

例 事務職の男性Aさんの場合(身長170cm、体重70kg

標準体重:1.7×1.7×22=64kg

身体活動量:25〜30kcal

1日の摂取エネルギー量:64kg×(25〜30)kcal=1600〜1920kcal

②バランスのとれた食事

バランスのとれた食事とは、炭水化物(ご飯やパン、麺類)、タンパク質(肉や魚、大豆製品)、脂質(油脂、ナッツ)、ビタミン(果実や野菜)、ミネラル(果実や野菜)の5大要素を過不足なく1日の摂取エネルギー量内で摂取することのできる食事のことを言います。

エネルギーの元となる炭水化物、タンパク質、脂質の摂取割合としては、下記の割合で摂取することを推奨しています。これらにビタミンとミネラルを合わせて摂取することでバランスをとることができます。

③朝昼晩の1日3食

朝昼晩の1日3食と聞いて当たり前のことだと思うかもしれませんが、食事の時間1回の食事のエネルギー量食事の間隔など気をつけるポイントがいくつかあります。

朝昼晩の1日3食を推奨する理由としては、欠食をすると一度に多くのエネルギーを摂取してしまう恐れがあり血糖値が急上昇しやすくなってしまいます。
また三食とは別に間食を入れてしまうと、もちろん血糖値は上昇してしまいます。
1日3食で食事量を均等にする
食事の間隔を4〜5時間あける(食後の血糖値が4〜5時間で戻る)
夕食は21時までに済ませる(翌朝の朝食の高血糖を避けるため)
この三つのポイントを抑えることで食事での高血糖状態を防ぐことができます。

3.糖尿病患者向けのお勧め食事レシピ

食事レシピ1:鶏ササミとニンジンサラダ
<材料>
ササミ・・・3本
ニンジン・・・中1本
塩麹・・・大さじ1
料理酒・・・大さじ1
黒胡麻・・・適量
マヨネーズ・・・大さじ1
簡単酢・・・大さじ1
<作り方>
1 ニンジンは細切りに、レンジで2分ほどチンしてから簡単酢をかけます
2 ササミは料理酢と塩麹に20分以上つけて、レンジで3分くらいチン。粗熱が取れたら筋を取ってほぐす。
3余熱で全体に火が入るように最小限の加熱時間に抑えてください

食事レシピ2:糖質オフドーナツ
<材料>
水切り豆腐・・・150g
ホットケーキミックス・・150g
スキムミルク・・・20g
エリスリトール・・・30g
黄身・・・1個
<作り方>
1 豆腐はしっかり水切り後、クリーム状にしてエリスリトールと混ぜる
2 ホットケーキミックスに黄身を混ぜてこねる
3 手に米油を塗って小さく丸める
4 150度の油できつね色になるまで揚げる

4.まとめ

食事一つを取ってもこれだけの注意点やポイントがあります。今回お話ししたことを全て、すぐに実行することは難しいかもしれませんが、何か一つでも食事の摂り方を変えて継続し、少しずつ改善に向けて進んでいってほしいと願っています。
努力は必ず報われるという言葉がありますが、私は、報われない努力はないという言葉の方が適していると思います。
ご自身を信じて食事療法にも取り組んでみてはいかがでしょうか。

糖尿病を抱えるアスリート

『糖尿病を抱えるアスリートたちはなぜプロスポーツで活躍できたのか』

 世界には1型糖尿病を抱えながら様々な競技で今もなお活躍しているアスリートが多くいます。糖尿病と聞くと、もうスポーツを続けることはできないと考えがちですがそうではありません。確かにスポーツを続けることは簡単なことではありません。しかし様々な苦悩を乗り越え努力することで、発症する前と同じようなパフォーマンス、あるいはそれ以上のパフォーマンスをすることができる可能性があるのです。今回は、現在も1型糖尿病と戦いながら競技を続けているアスリートの方々を紹介していきたいと思います。1型糖尿病を抱え自分がこの先も大好きなスポーツを続けられるか不安な方々に、少しでも勇気や希望を与えられれば幸いです。

 

1.ビル・ガリクソン 『プロ野球選手、メジャーリーガー』 (1998現在60歳)

 21で1型糖尿病を発症した彼は、1997年のMLBドラフトでモントリオール・エクスポズに1位指名で入団し、その後はシンシティ・レッズやニューヨークヤンキースで活躍。その後1998年に日本の読売ジャイアンツに入団。当時日本では糖尿病を抱えながらスポーツを続けることは不可能だと言われていたが、ビルが自らインスリンの注射を打ちながらプレーしていたのは衝撃的でした。そして、糖尿病を抱えていることを感じさせないプレーで26試合に登板し14勝を挙げ、防御率3.1014完投3完封と活躍しました。彼は『ナンバーワンのプロ野球選手、ナンバーワンの糖尿病患者になる』をモットーとし、インスリン注射や食事管理の徹底を行いました。周りの選手が故障していく中、病気のおかげで自己管理がしっかりしていたビルは全く故障することはなかったそうです。

 彼は年棒以外の副収入全てを糖尿病研究に寄付し、その栄光が称えられ、社会貢献をした小児糖尿病患者を表彰するための『ガリクソン賞』を制定しました。

 

2.チャーリー・キンポール 『カーレーサー』 (1985.02.02 現在34歳)

 彼は9歳でゴーカート、16歳でカーレーサーとしてデビューしました。しかしその5年後の22歳で1型糖尿病を発症しました。当時の担当医に「レースを続けられるか?」と尋ねた際に「できない理由なんてないよ」と背中を押された彼は「前例がないなら僕が前例になる」と決意し、病と闘いながらレースを続けることを決めました。

 カーレーサーはレース中にスピード、ラップタイム、ギアなどで自分の車の状況を見るが、彼はそれに加えて持続血糖モニターで自分の血糖値を確認しながらレースをしていました。レース中は車から出ることはもちろん、タイムアウトを取ることもできないので糖分の入ったドリンクを車に搭載し、低血糖になってきた際はそのドリンクを補給することで安定した血糖値を保っていたといいます。その後も彼はインディ500という800キロものレースで好成績を収めるなど発症後も活躍することができています。

 

3.大村詠一 『エアロビック選手、日本代表』 (1986.02.07 現在33歳)

 4歳からエアロビックを始め8歳の時に1型糖尿病を発症しました。10歳の頃にエアロビック競技に転向し、20022003年にユースの部で世界一、2002年にはその活躍が称えられ『ガリクソン賞』を受賞、2008年には一般の部男子シングルスで日本一になるなど発症後も活躍し続けました。大村さんの場合はインスリンが分泌されず、何も食べなくても血糖値が上昇してしまうそうです。また、エアロビック演技の前に緊張すると血糖値が上がり演技直前まで血糖値は上がり続け、演技が終わった途端に血糖値が下がる傾向があるそうです。そのため様々な種類のインスリンの注射を使い分けて緊張などによって上昇してしまう血糖値を調整しているそうです。

 また、自分が糖尿病であることを打ち明け、そういう話をできる人を見つけることがとても大事だとおっしゃっています。大村さんもチャーリーのように『僕の前に道はない、僕の後ろに道はできる』と、現在も精力的に活動しています。

 

4.杉山新さん 『プロサッカー選手』 (1980.07.25 39歳)

 杉山さんは23歳の時に1型糖尿病を発症しました。1999年に柏レイソルでプロキャリアをスタートさせるも試合になかなか絡むことができず、2003年にヴャンフォーレ甲府に移籍しました。その直後1型糖尿病を発症し戦力外通告を受けることになってしまいました。しかし練習生として2ヶ月の猶予が与えられその期間で結果を出せば再契約できることになりました。猶予を与えられたからといっても大変なことばかりでした。インスリンの注射もトイレに行って隠れて打っていたことや、悔しさや虚しさに押しつぶされそうになり精神的に厳しい時期があったようです。

 しかし、家族や仲間、サポーターなどからの支援もありもう一度チャレンジすることを決めました。まずは自分がどのくらい走ったら血糖値が下がるのかを、グランドを1周するごとに血糖値の測定をし、その繰り返しを何度も何度も行い自分の体を理解していきました。それを繰り返していくうちに自信を取り戻していき、プレーに支障がないことをチームに証明することができ、再びプロの世界へと舞い戻ることができました。その後も大宮アルディージャや横浜FCで活躍するなど第一線でプレーし続けることができました。杉山さんは『自分さえ諦めなければ、必ず、夢は実現できる。』という言葉を残し、同じ糖尿病患者の方々に勇気と希望を与え続けています。

 

5.岩田稔さん 『プロ野球選手』 (1983.10.31 36歳)

 大阪桐蔭高校2年次にエースとして大阪府大会準優勝、近畿大会ではべスト8に導いた矢先に1型糖尿病を発症しました。高校卒業後は社会人野球リーグでプレーする予定でしたが、1型糖尿病もあり契約は白紙となり、関西大学に進学しました。しかし、当時の阪神タイガースのスカウトマンの目に止まり、最速151キロの速球や多彩な球種を持ち味とし、2005年のドラフト会議で阪神タイガースに入団することができた。そして2009年にはWBC(ワールドベースボールクラシック)に日本代表として優勝に貢献しました。

 糖尿病を患った当時、岩田さんはビル・ガリクソン投手の著書で「薬で血糖値をコントロールすれば、普通の生活はもちろん、スポーツを諦める必要はない」という言葉に胸を打たれ、14、5回のインスリン注射に加えて、先発、中継ぎ、抑えで投げる登板のタイミングに合わせて血糖値の値を調整し、また、運動量が減ると血糖コントロールが難しくなるらしく、オフの日でも完全に休養を取る日は少なく常に体を動かすなど工夫を凝らし「これで負けていたら、社会で生きていけない。絶対負けない」と心に決め努力を続け諦めない事で夢は叶うと証明してくれました。

 

最後に

 今回ご紹介した方々に限らず、1型糖尿病を患いながらもスポーツを続けている方々に共通して言えることは、絶対に諦めないこと、そして努力し続けているということです。糖尿病を患ったことで何事にもマイナスに考えてしまうのではなく、病気と向き合い絶対に諦めない気持ちを強く持つことで必ず夢は叶うと。
そしてご自身が成し遂げたことを、また次の世代の糖尿病患者さんに伝えていくことで、同じ病気で苦しむ方々に今度はご自身が勇気と希望を与えることができます。

決して簡単なことではありません、苦しいことの方が多いかもしれません。しかし、その苦しんだ分の何倍も大きくなった喜びや幸せが訪れると、私は信じています。