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[後編]1型糖尿病アスリートのWeb交流会。阪神の岩田投手とヴィッセル神戸のセンジ選手が質問に回答。

2021年3月8日に、1型糖尿病アスリートである岩田稔投手(阪神タイガース)とセルジ・サンペール選手(ヴィッセル神戸)が、WEB交流会で対談されました。
今回の記事は、前回に続く後編です。

■前編の記事はこちら
1型糖尿病アスリートのWeb交流会。阪神の岩田投手とヴィッセル神戸のセンジ選手が対談。

前編では両選手のこれまでの体験談や同じ位置型糖尿病患者へのアドバイスなどをお話ししていただきました。
後編では、WEB交流会の視聴者からの質問に、直接両選手がお答えしていきます。

1型糖尿病アスリートWeb交流会 後編

岩田 稔投手 ✖️ セルジ・サンペール選手

岩田稔投手(阪神タイガース)

セルジ・サンペール選手(ヴィッセル神戸)

司会  :丸山典子さん (1型糖尿病患者)

ーーー 僕はプールの進級テストや大事な時にどうしても低血糖になってしまって、たまに気持ちが弱くなってしまうんですけど、どうしたら強い心になれますか? ルカくん(10歳)

岩田投手 僕もそんなに気持ちが強い方じゃないんですが、困ったときはなるようになるというか、開きなおりじゃないですけどそうゆう気持ちにはなります。

しっかり準備してきているので、『やってきたから大丈夫』と思うようにしています。

サンペール選手 糖尿病は算数みたいに答えがあることじゃないし、その日によって血糖値が変わったりすることもあるので、できることとしたら可能な限り生活のリズムっていうのを一定に保って、いつも同じ時間に食事をとったりだとかそうゆうことを通して、可能な限り自分の出来る範囲で糖尿病の血糖値のコントロールを心がけることが大切。

その中でコントロールできない部分はインスリンなど血糖値を上げることができるもの持って、あとは岩田投手も言っているように、、なるようになるというか、自分がこれまで準備してきたものに自信を持ってやることがいいことだと思います。

 

ーーー トレーニングや食事で気をつけていることはありますか? マキちゃん(サッカーをしてる)

サンペール選手 気遣っているところはやっぱり食事で、炭水化物をコントロールして食べ過ぎないようにして、血糖値が急激に上がらないようにすることを心がけています。

ただ、試合の前の日は炭水化物をとらなければいけないので、うまくコントロールして可能な限り血糖値を一定に保つように心がけています。

また、子供の時に習ったことというか、サッカーは人生と同じで常に成長できる。
常に学んでいかないといけないのでその気持ちを常に保つことが大切。
成長が止まってしまうと周りに置いていかれてしまうので、常に『成長したい』、『成長しないといけないんだ』という気持ちを持ち続けることが大事だと思います。

 

ーーー 岩田投手の好きな捕食はなんですか? ヒロトくん(野球をしている)

岩田投手 一番手っ取り早く上がるのはゼリー系のものなんですけど、僕の場合は血糖値が上がりすぎてしまうので、そこまで上げたくないけどとらなければいけなかったり、小腹が減った時はバナナを好んで食べてます。

 

ーーー 岩田投手は高校生の時に糖尿病を発症したと聞きましたが、まわりの同級生や友達に何か言われたりはしましたか? ヒロトくん(野球をしている)

岩田投手 最初は言われました。発症してから一週間くらい入院したんですけど、その期間は練習には行けてないので、チームに帰ってきて、入院してたので急激に痩せたり走れてたのに走れなくなったりして、監督やコーチ、部長に『ちゃんと練習してたのか』など言われました。

ただ、病気になった本人しかわからないので、ちゃんとチームメイトに説明をしてからはそのようなことは言われなくなりました。

ただ、低血糖になったら捕食をとらないといけないんですけど、僕が高校生の時は水を隠れて飲まなければいけない時代だったので、隠れて捕食をとっているのを見られると、チームメイトから『おい。なにしてんねん。』と言われてました。
その度に説明をして分かってもらうように話をしていました。

 

ーーー 病気のことをみんなに知ってもらいたいと思ったきっかけはなんですか? ケンタくん(以前は野球をしていて今はサッカーをしている)

岩田投手  高校生の時、授業中やお昼ご飯にインスリンを打ちにトイレに行ってたんですが、そのトイレに行くのがすごくめんどくさくなって、『なんでトイレいってんのやろ俺。』って思うようになって。
別に悪いことをしてないのになって思って。

それである日、突然教室の自分の上で注射を打つようになったら、気持ちがすごい楽になって、詰まってたものがスッと抜けて。
それからもっといろんな人に言っていった方がいいんじゃないかと思うようになって公表するようになりました。

サンペール選手 僕も同じようにシャイなので、みんなに『糖尿病です』って言うのが恥ずかしくてトイレに行って打つようにしてたんです。

けれど、それを続けていく中で『ちゃんと知ってもらうべきだな』と思うようになって、自分は隠すことは何もないし、隠さなきゃいけないものでもないので、周りのみんなに知ってもらったほうがいいなということで、まずは自分の身近な人に説明していくことから始めました。

そして、最終的には自分が糖尿病を発症した時に、周りにプロの選手でアドバイスをくれる人がいたら助かったんだろうなという思いがあって、自分がプロになってから公表することで誰かサポートすることができればなと思いました。

主催の日本IDDMネットワークについて

日本IDDMネットワークでは1型糖尿病『治らない』から『治る』をスローガンに1型糖尿病患者への支援を行っています。

1型糖尿病研究基金を設立し、不治の病”1型糖尿病根治”を目指した研究への助成基金として86件の4億4750万円の研究助成を行ってきました。
例として、岩田投手は岩田稔基金を設立し、1勝するごとに10万円を1型糖尿病の研究基金として寄付を行っています。

現在、日本IDDMネットワークでは一生注射を打ち続けなければいけない子供達のために、”不治の病”根治を目指して1ヶ月1000円からのマンスリーサポーターを募集しています。

<1型糖尿病研究基金マンスリーサポーター>

1型糖尿病になり、毎日の自己血糖測定やインスリン注射などで血糖値をコントロールしながら、夢に向かって頑張っている子ども達がたくさんいます。子どもたちの夢が血糖値を気にすることなく実現する日がくるように、医学・医療の現場では根治を目指した研究が日々行われています。
1型糖尿病の根治のためには、数多くの研究を行うことや、研究を継続することが非常に重要です。そのため、日本IDDMネットワークでは、継続的に研究を応援してくださるマンスリーサポーターを募集しています。

キャンペーン期間:応募締め切り2021年5月17日(月)まで
目標募集人数:100名
サポート金額:1000円〜20000円

1型糖尿病アスリートのWeb交流会。阪神の岩田投手とヴィッセル神戸のセンジ選手が対談。

2021年3月8日に、1型糖尿病アスリートである岩田稔投手(阪神タイガース)とセルジ・サンペール選手(ヴィッセル神戸)が、WEB交流会で対談されました。

このWeb交流会の主催は認定特定非営利活動法人日本IDDMネットワークで、ZOOMアプリで配信されました。

普段は聞くことのできない、糖尿病を患いながらもプロスポーツ選手として第一線で活躍することができているお二人のこれまでの体験談や、日常生活で工夫していることなど、赤裸々にお話ししてくださっています。

以下ではその内容をまとめました。

1型糖尿病アスリートWeb交流会

岩田 稔投手 ✖️ セルジ・サンペール選手

 

岩田稔投手(阪神タイガース)

セルジ・サンペール選手(ヴィッセル神戸)

司会  :丸山典子さん (1型糖尿病患者)

ーーー 試合中に低血糖になったことはありますか?

岩田投手    あります。低血糖かなと思って計ってみたら血糖値が50台になってたことが何度もあります。

サンペール選手    僕は逆で、試合中はアドレナリンなのかわかりませんが血糖値が上がりやすいんです。
たまに練習中に低血糖になることはあるのですが、どちらかというと補給するというよりかは、休憩時などにインスリを打たなければいけないことの方が多いです。

 

ーーー その低血糖になった時の対策は何かありますか?

岩田投手    そうですね、試合が始まる前に血糖値を測って、ある程度血糖値を高めにしておくことは行っています。
その中でも、初回の登板で打たれてしまう時は低血糖になっていることが傾向として多いです。

もし試合中に低血糖になった時はゼリーを補給するようにしているのですが、僕の場合は一つのゼリーを全て補給してしまうと血糖値が上がりすぎてしまうので、ちょっとずつ舐めながら調整しています。

サンペール選手    そうですね、僕はリブレ(時間や場所を問わず、わずか1秒でグルコース値を測定することがてきるグルコースモニタリングシステム)をつけてから本当に人生が変わったと言いますか、携帯でいつでも血糖値を計れるので常にモニタリングしてます。

また、インスリンや糖分を取れるように砂糖菓子などを常に持ち歩いてます。

 

ーーー 日々のトレーニングや試合の中で血糖値が急降下しやすい動作などはありますか?

岩田投手    やっぱり試合中に投げている時ですかね。なんというか、体がソワソワというかフワフワというか、そのように感じる時は低血糖になっていまね。

なので、マウンドに上がっている時は補給ができないので、マウンドに登る前にベンチで補給をしてマウンドに登るようにしています。

 

ーーー 今後の夢や目標はありますか?

岩田投手    そうですね、僕の夢は1型糖尿病に関しては心の底からこの病が根治ができればなと思っていますし、それに対して色々な活動を行っています。
野球に関しては、優勝したいです!

サンペール選手    そうですね、糖尿病に関したは岩田投手も仰った通り、この病気が完治するように願っていますし、それまでに自分にできること、この病についてより多くの方に知ってもらったり、この病を持っている人たちに自分がどう思っているのか感じているのかを知ってもらったり、アドバイスができればいいなと思っています。

サッカーに関して言うと、今年の目標はACL(クラブチームによるサッカーの大陸選手権大会)への出場することなので、それを実現したいなと思います。

 

ーーー 発症当時の自分や家族に対してのアドバイスだったり、これを見てくださっている皆さん方へのメッセージなどもいただけますか?

岩田投手 そうですね、発症当時は大丈夫かなと思ったり、病気なので一生ベットの上で生活しなければいけないのかなと思ったり、マイナスの方に考えてしまった自分がいました。

でも、先生や家族と話す機会が増えて、話していく中で『あ、大丈夫なんだ』という前向きな気持ちに僕はすぐなれました。

やっぱり、家族のサポートや本人がどれだけ病気の事を理解できるかが大事だと思うんですが、小さいお子さんがなりやすいとも言われていたので、その辺はどう伝えていけばいいのかなと思ったりもしました。

サンペール選手    そうですね、自分も1型糖尿病とお医者さんに診断された時はすごくきつかったというか、しんどかったというのが最初の反応でした。

バルセロナのトップチームでデビュする寸前だったんですすが、その時にこの病気が発症して、自分が何で発症したのか、どんな病気なのか分からなかったし、当時はまだ自分の家族も1型糖尿病についての理解もなかった。
また、ドクターからも『サッカーはもうできなくなるかもしれない』と言われ、すごく泣いて沈んだ日々を過ごしたことを覚えています。

1型糖尿病を抱えながらプロサッカー選手としてプレーしている選手が当時はいなかったので、自分がプロになった後は自分の病を公表して、この病を患っていてもプロ選手として活躍できるんだということを皆さんに伝えられればなと思っています。

そこから家族のサポートや自分も1型糖尿病の情報をしっかり得ること、食事をしっかり気遣うことで、今サッカーをを楽しむ毎日を過ごせています。

次回は視聴者からの質疑応答

このWEB交流会の内容は二部構成となっています。
次回の後編では、WEB交流会の視聴者から両選手への質問や回答の内容となっています。

[後編]1型糖尿病アスリートのWeb交流会。阪神の岩田投手とヴィッセル神戸のセンジ選手が質問に回答。
後編記事をアップしました。