1型糖尿病を発症した人が受けられる公的支援は何がある?

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1型糖尿病の医療費負担はどのくらい?

1型糖尿病は遺伝により発症することが多い病気で、お母さんのお腹の中から生まれてきてすぐに発症してしまうことも少なくありません。

1型糖尿病にはインスリンによる治療が必要不可欠です。
インスリンの治療にも様々ありますが、標準的な1型糖尿病のインスリン治療ですと
■ペン型注射器を用いたインスリン補充療法の場合
1ヶ月あたり15000円〜20000円ほど
■インスリンポンプなどの高度な医療器具を用いたインスリン補充治療の場合
1ヶ月あたり20000円〜35000円ほど
の費用がかかります。

糖尿病は膵臓移植手術を除いては現在の医療技術では完治することがありません。
そのため多くの患者さんが生涯を通じて医療費を払わなければいけなくなっています。
仮に60年間医療費を払い続けると、総額1000万円をも超える金額になってしまします。

そこで今回はこの医療費への公的支援について、どのような種類の公的支援策があるのかをお話ししていきたいと思います。

1型糖尿病への公的支援とは

1型糖尿病への公的支援には、
・『小児慢性特定疾患治療研究事業』
・『特別児童扶養手当』
という2種類の公的支援があります。

それぞれの公的支援の内容について説明していきたいと思います。

小児慢性特定疾患治療研究事業

小児慢性特定疾患治療研究事業とは、小児慢性特定疾病にかかっている子供に対してその医療費の自己負担分の一部を助成する制度のことを指します。

対象年齢は18歳未満で、糖尿病だけでなく、以下のような疾患に対して広く助成がされています(継続して治療が必要だと判断された場合は、20歳未満まで対象となることがあります)。

小児慢性特定疾患治療研究事業の対象疾患群:
1.悪性新生物(白血病、悪性リンパ腫など)
2.慢性腎疾患(ネフローゼ症候群、慢性腎盂腎炎など)
3.慢性呼吸器疾患(気管支喘息、気道狭窄など)
4.慢性心疾患(洞不全症候群、完全房室ブロックなど)
5.内分泌疾患(下垂体機能低下症、先端巨大症など)
6.膠原病(若年性突発性関節炎、皮膚筋炎など)
7.糖尿病 (1型糖尿病)
8.先天性代謝異常 (アミノ酸代謝異常症、ミトコンドリア病など)
9.血液疾患 (急性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病など)
10.免疫疾患 (X連鎖重症複合免疫不全症、細網異形症など)
11.神経・筋疾患 (全前脳胞症、脊髄脂肪腫など)
12.慢性消化器疾患 (潰瘍性大腸炎、急性肝不全など)
13.染色体又は遺伝子に変化を伴う症候群 (マルファン症候群、ダウン症候群など)
14.皮膚疾患 (表皮水疱症、先天性魚鱗癬など)
15.骨系統疾患 (胸郭不全症候群、軟骨無形成症など)
16.脈管系疾患 (巨大静脈奇形、リンパ管腫など)

また、自己負担額上限については、それぞれの家計の年収や、病気が重度なのか軽度なのかによって変動していきます。

特別児童扶養手当

特別児童扶養手当とは、精神または身体に何らかの障害がある子供を持つ家庭に手当を支給する制度です。

対象年齢:20歳未満

支給金額:1級(重度障害児)の場合、月額52,500円
    :2級(軽度障害児)の場合、月額34,970円

何級に該当するかは糖尿病の治療状況によって変わってきますので、特別児童扶養手当について詳しく知りたい方は、お住いの市区町村にお問い合わせしていただくとより細かく説明してくださいます。

その他の糖尿病への公的支援

障害基礎年金

障害基礎年金とは国民年金、共済年金、厚生年金保険の全ての方が対象となり支給される年金制度です。
また、交通事故によって身体または精神に障害を負ってしまった方や、生まれつき障害を持っている方など、あらゆる病気や怪我が対象となる年金制度でもあります。

対象年齢:規定なし

支給金額
1級(他人の介助がないと身の回りの自分のことを行うことができない程度) 97,4125円
2級(必ずしも他人の介助は必要ないが日常生活を自分だけで行うことは困難な程度) 77,9300円

これに『18歳到達年度の末日を経過していない子供』もしくは「20歳未満で障害等級1級または2級の障害者」の子供を有する場合、1〜2人目は一人当たり22,4300円、3人目以降は7,4800円が1級、2級の金額に加算されます。

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