糖尿病の治療方法には幾つかの種類があるのはご存知だと思います。食事療法や運動療法、インスリンの注射などの薬物療法などがあります。今回は不規則な生活や、偏った食生活などが要因となり発症する2型糖尿病への治療法として、一番基本的な食事療法をピックアップしていきたいと思います。
食事療法と聞いてなんとなく頭に思い浮かぶものがあるかもしれませんが、バランスの良い食事とは、どの食べ物をどのくらいの量食べれば良いのか、食べてはいけないのか、気にして食事を摂っているのになかなか改善されないなど、正確に理解している方は少ないのではないでしょうか。
様々な疑問や注意点を踏まえて糖尿病の食事療法について解説して行きたいと思います。
1.食事療法が糖尿病治療に与える効果とは
型糖尿病患者の場合ほとんどが食べ過ぎ飲み過ぎなどによるエネルギーの過剰摂取や不規則な生活習慣によってインスリンが効きにくくなり血糖値が高くなってしまいます。
適切な食事を摂ることでインスリンの働きを促進し、全身の代謝異常や血糖値の上昇を良好に保ち、合併症の発症や予防をすることができます。
2.食事療法を行う上での三つのポイント!
①適切なエネルギー量の摂取
適正体重を維持するにあたって、日常生活を送る上での必要最低限のエネルギー摂取に抑えることで、過剰なエネルギー摂取を予防します。
年齢や性別、身体活動量などを考慮して、男性は1600〜2000kcal、女性は1400〜1800kcalを目安とします。
*摂取エネルギーの算出方法
摂取エネルギー=標準体重×身体活動量
*標準体重(kg)=身長(m)×身長(m)×22
*身体活動量(kcal)
・デスクワークなどの軽作業の職業 25〜30kcal
・立ち仕事が多い普通の職業 30〜35kcal
・力仕事が多い職業 35〜kcal
例 事務職の男性Aさんの場合(身長170cm、体重70kg)
標準体重:1.7×1.7×22=64kg
身体活動量:25〜30kcal
1日の摂取エネルギー量:64kg×(25〜30)kcal=1600〜1920kcal
②バランスのとれた食事
バランスのとれた食事とは、炭水化物(ご飯やパン、麺類)、タンパク質(肉や魚、大豆製品)、脂質(油脂、ナッツ)、ビタミン(果実や野菜)、ミネラル(果実や野菜)の5大要素を過不足なく1日の摂取エネルギー量内で摂取することのできる食事のことを言います。
エネルギーの元となる炭水化物、タンパク質、脂質の摂取割合としては、下記の割合で摂取することを推奨しています。これらにビタミンとミネラルを合わせて摂取することでバランスをとることができます。
③朝昼晩の1日3食
朝昼晩の1日3食と聞いて当たり前のことだと思うかもしれませんが、食事の時間や1回の食事のエネルギー量、食事の間隔など気をつけるポイントがいくつかあります。
朝昼晩の1日3食を推奨する理由としては、欠食をすると一度に多くのエネルギーを摂取してしまう恐れがあり血糖値が急上昇しやすくなってしまいます。
また三食とは別に間食を入れてしまうと、もちろん血糖値は上昇してしまいます。
・1日3食で食事量を均等にする
・食事の間隔を4〜5時間あける(食後の血糖値が4〜5時間で戻る)
・夕食は21時までに済ませる(翌朝の朝食の高血糖を避けるため)
この三つのポイントを抑えることで食事での高血糖状態を防ぐことができます。
3.糖尿病患者向けのお勧め食事レシピ
食事レシピ1:鶏ササミとニンジンサラダ
<材料>
ササミ・・・3本
ニンジン・・・中1本
塩麹・・・大さじ1
料理酒・・・大さじ1
黒胡麻・・・適量
マヨネーズ・・・大さじ1
簡単酢・・・大さじ1
<作り方>
1 ニンジンは細切りに、レンジで2分ほどチンしてから簡単酢をかけます
2 ササミは料理酢と塩麹に20分以上つけて、レンジで3分くらいチン。粗熱が取れたら筋を取ってほぐす。
3余熱で全体に火が入るように最小限の加熱時間に抑えてください
食事レシピ2:糖質オフドーナツ
<材料>
水切り豆腐・・・150g
ホットケーキミックス・・150g
スキムミルク・・・20g
エリスリトール・・・30g
黄身・・・1個
<作り方>
1 豆腐はしっかり水切り後、クリーム状にしてエリスリトールと混ぜる
2 ホットケーキミックスに黄身を混ぜてこねる
3 手に米油を塗って小さく丸める
4 150度の油できつね色になるまで揚げる
4.まとめ
食事一つを取ってもこれだけの注意点やポイントがあります。今回お話ししたことを全て、すぐに実行することは難しいかもしれませんが、何か一つでも食事の摂り方を変えて継続し、少しずつ改善に向けて進んでいってほしいと願っています。
努力は必ず報われるという言葉がありますが、私は、報われない努力はないという言葉の方が適していると思います。
ご自身を信じて食事療法にも取り組んでみてはいかがでしょうか。